炎の1球、横浜DeNAの継投実る 10月20日・クライマックスシリーズ広島戦

 左翼筒香のグラブに白球が収まった瞬間、自然と右拳が突き上がった。1−0の六回2死満塁。砂田が四球で広げた窮地を救援した須田が、エルドレッドを140キロの高めの直球で左飛に仕留めた。気迫を込めた1球に、「球威が勝って最高の結果になった」と雄たけびを上げた。

 第2戦の積極的な代打策に続き、ベンチは早々に動いた。六回1死から井納が連打を浴びると、ラミレス監督は「準備させておいた」と、バティスタには右腕三上をぶつける。力ない二飛に封じると、続く左打者の松山には左腕砂田を投入。松山は歩かせたが、さらに右腕須田を迷いなくつぎ込み、“マシンガン継投”を完遂させた。

 六回が始まった時点で登板を示唆されていた三上は「打者しか見ていなかった。集中していた」と胸を張り、浜口を七回まで引っ張った前日とは対照的な指揮を執ったラミレス監督は「得点差を考えた。六回を井納と3人の投手で抑えられたのが大きかった」と救援陣をたたえた。

 七回以降もエスコバー、パットン、山崎康の黄金リレーで無失点に抑えた。今季は5人が同時に60試合登板を果たして、まさにフル回転した自慢のブルペン。台風接近で21日以降の悪天候も予想され、「リリーフを使えると思った。勝つためには手段を選ばない」と指揮官。積極的なラミレス采配の裏には、緻密な計算も働いていた。

 救援陣の思いを、三上はこう熱く語った。「去年の経験があるから、みんな堂々としている。自分たちの野球がしっかりできている。いけると思う」

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