ペナントレースとCSは別物!? CSを得意とするエース、不得意とするエース

楽天・則本昂大【写真:荒川祐史】

通算最多勝利は5勝で3人

 10月21日、楽天の岸孝之はCSファイナルステージ第4戦に先発したが、5回を投げて自責点2、勝敗つかずで降板した。岸のCS通算成績は、西武時代も含め7試合で2勝4敗、防御率4.12。岸はリーグを代表する先発投手だが、CSは得意とは言えない。今年、楽天の絶対的なエースだった則本昂大も2敗。エース級でもCSが得意な投手と不得意な投手がいるのだ。

 セ・パ両リーグでのCS最多勝は5勝。3人が記録している。

1.ダルビッシュ有(日) 6試合5勝0敗 49.2回 防御率0.91
1.吉見一起(中)  6試合5勝0敗 44.2回 防御率1.01
1.中田賢一(中・ソ) 8試合5勝1敗 36.2回 防御率4.17

 ダルビッシュ有は、2006年、まだプレーオフと呼んだ時代に第2ステージのソフトバンク戦で初登板し、9回を投げて自責点1(失点1)で完投し、初勝利を挙げた。以後、2007年ファイナルステージ2勝、2008年ファーストステージ1勝、ファイナルステージ各1勝と無傷の5連勝。2008年は2試合とも完封勝利だった。2011年のファーストステージでも7回を零封したが勝利はつかず。しかし、6試合で自責点5、防御率0.91という圧倒的な数字だ。

 セ・リーグでこれに匹敵するのが、吉見一起だ。2008年ファーストステージ1勝、2009年ファーストステージ1勝、ファイナルステージは6回を投げて自責点2ながら勝ち星はつかず。2010年ファイナルステージで1勝、2011年のファイナルステージでも2勝を挙げた。6試合すべてQS(6回以上投げて自責点3以下)で、防御率は1.01だ。

 中田は中日時代に4勝1敗、ソフトバンクに移籍して1勝したが、防御率は4.17。好投とは言えないが、味方打線の援護が多く、5勝を挙げている。

 4勝の投手はなく、救援投手を含む8人が3勝しているが、その中では田中将大が4試合で3勝1セーブ、28回を投げて自責点2、防御率0.64という凄さだ。2009年は完封と完投で2勝、2013年はレギュラーシーズンで24勝0敗という空前の成績を残したが、ファイナルステージでは完封に加えて救援でもマウンドに上がり1セーブ。日本中に感動を与えたのは記憶に新しい。

エース級ながらCSで奮わなかったのは…

 こうした投手がいる一方で、エース級ながらCSで全く奮わなかった投手もいる。

 その代表格が、ダイエー、ソフトバンクのエースで、沢村賞を2回も受賞した斉藤和巳だ。プレーオフ初年の2004年に第2ステージで先発したが、5回を自責点6で敗戦投手。以後2005年の第2ステージ、2006年の第1、第2ステージ、2007年のファーストステージと4度先発したが、すべて黒星。通算では5試合で0勝5敗、31.2回を投げて防御率4.55だった。

 同じくソフトバンクと巨人でエースとして活躍した杉内俊哉は、CSでは13試合に登板しているが2勝5敗、防御率4.48。

 巨人の内海哲也は10試合に登板して、1勝4敗、48.1回を投げて防御率3.72、中日のチェンは6試合で1勝4敗、33回を投げて防御率4.09、そして岸も4敗組だ。

 相性の問題もあるだろう。たまたまコンディションが悪い中で登板し、黒星がついたことがきっかけで苦手意識が生まれ、黒星を増やす投手もいると思われる。

 短期決戦ではレギュラーシーズンの実績は、あくまで「参考」である。指揮官はCSを得意とする選手をいち早く見つけ、積極的に起用することが求められるだろう。

(Full-Count編集部)

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