プレーオフで輝くもレギュラーシーズンでは「アップダウン」に苦しんだ田中
ヤンキース田中将大投手の2017シーズンが幕を下ろした。21日(日本時間22日)敵地でのリーグ優勝決定シリーズ第7戦でアストロズに敗れ、対戦成績3勝4敗でワールドシリーズ進出を逃した。
ポストシーズンこそ、3試合に投げて2勝1敗、防御率0.90の好投でチームを牽引したが、レギュラーシーズンは「アップダウンもあって、苦しいことがすごく多かったシーズン」と自身が語る通りだった。
3年連続開幕投手を務めながら、3回持たずに7失点でKO降板。母の日だった5月14日アストロズ戦では、1回2/3で8失点を喫した。かと思えば、5月26日アスレチックス戦では13奪三振を記録(同試合は8回途中1失点も黒星)。ダルビッシュ有投手と投げ合った6月23日レンジャーズ戦では8回3安打無失点の快投を見せた。
7月以降は徐々に調子の振れ幅は小さくなったが、それでもシーズン終盤になってもマウンド上で自身に納得のいかない様子を見せることは多く、例年以上に試行錯誤を繰り返した。
エースとして期待される中で迎えた大スランプ。辛口の地元メディアやファンから厳しい声が投げかけられることもあったが、何よりももどかしかったのは、チームの勝利に貢献し切れていない事実だっただろう。苦しみの時を過ごす中でも、忘れなかった気持ちがある。
「結局は、自分が今、自分の前に立ちはだかっているものに対して、向き合っていかないと、それをクリアすることはできないし、乗り越えることはできないと思う。その事実と向き合いながら、常に前に進んで行く、向上していくっていう気持ちだけは常に持って、シーズンを戦っていました」
高まる思い、「一番高いところはやっぱり、つかみ取りにはいきたい」
自分の弱点や問題点から目を背けたくなるのが人の常。だが、逃げては何も生まれない。課題と1つ1つ向き合いながら改善に努める過程で「いろんなことの、物の消化の仕方じゃないですけど、うまくコントロールするやり方っていうのは、新たに学べたと思う」と話す。結果として「今シーズン始まる前の自分とは、明らかに違うと思います」と言い切れるほど、投手として、人として経験を積んだ。
だが、これで終わり、では意味がない。
「今シーズンのことが、後々『ああいうことがあったから、自分が成長できたんだ』って広い目で見た時に言えるように。それはやっぱり今後の自分自身の頑張り次第だと思います。決して無駄にしないように、今後につなげていきたいですね」
あと1勝でリーグ優勝、そしてワールドシリーズ出場を逃し、悔しさを覚えると同時に、頂点を極めたい思いも強くなった。
「一番高いところはやっぱり、つかみ取りにはいきたいですね」
また来春、新たなチャレンジが幕を開ける。
(広尾晃 / Koh Hiroo)