JFE建材、堰堤補修システム開発 拡大鋼管継手構造で早期修復

 JFE建材(社長・久保亮二氏)は20日、鋼製土石流・流木捕捉工「J―スリット堰堤」の補修システムを開発したと発表した。新たに開発した拡大鋼管継手構造(特許出願中)の採用により堰堤の部分補修が可能となり、土石流を捕捉した堰堤の機能を早期に回復できる。このほど、長野県南木曾町の梨子沢第2砂防堰堤の補修に初適用された。同社では今後維持管理・省力化ニーズに貢献する技術を追求していく方針。

 「鋼製砂防構造物設計便覧」では鋼管径の40%以上のへこみが生じた堰堤の部材は必ず補修するよう定められているが、想定外の土石流の発生により堰堤の複数の部材が損傷するケースも生じている。従来、こうしたケースでは部材の変形などにより全取り替えとなる場合も多くコストや工期が増大する一因となっていた。

 本システムはこれを解消したもので、拡大鋼管継手構造とすることで部材の変形や損傷部材の切断時の誤差を吸収できる。取替部材との接合は現地溶接で片側開先加工付溶接盤により下向き溶接できる継手構造。継手部の強度は既存の鋼管と同等であることを曲げ試験で確認している。

 初適用案件では昨年7月に南木曾町で発生した土石流を「J―スリット堰堤」が捕捉。砂防機能を発揮したが両端上部が損傷した。本システムの適用により取り替え日数は現地塗装を含め30日で、本システムを適用しない場合は数倍の工期も想定された。また、取替部材の重量も全取り替えに比べ約4分の1となっている。

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