「横浜へ帰る」実現 敵地・広島でベイファン歓喜

 真っ赤に燃えるカープファンの日本一への夢を完璧に打ち砕いた。ベイスターズの主砲筒香が圧巻の2打席連続アーチで下克上を完遂させ、「横浜に帰れることが一番。それがかなって良かった」とファンとの約束を真っ先に口にした。

 勝利を確信させた特大の一発だっだ。2点リードの五回2死一塁。初球、146キロのストレートを捉えると、滞空時間の長い打球はそのままバックスクリーンを直撃した。2戦連発となる特大2ランで突き放すと、3点差の七回は先頭でまた直球を左中間席にぶち込んだ。

 先発石田がわずか1回で降板。それでも、下を向かずに、ベンチで声を出す姿に、背番号25の心が震えた。「エースの立ち振る舞いに、いいチームになったと思った。熱くなるものがあった」。2本塁打は仲間のために描いた放物線だった。

 昨季は44本塁打、110打点の“2冠王”としてファイナルステージの舞台に立った。しかし、4試合で16打数1安打、打率6分3厘。「力不足。打てなかったのが現実」と責任をかぶった。

 このポストシーズンは違った。たとえ筒香が打てなくても、このCSで最優秀選手に輝いた打点王のロペスが、首位打者の宮崎が、勝利を呼び込む一打でつなぎ止めた。このファイナルステージのチーム打率は2割8分7厘、平均4得点と、リーグナンバーワンの破壊力を誇った強力打線の広島を圧倒した。

 「チーム全員で取った勝利。自分の結果どうこうより、勝てたことが一番。次は日本一」。新たな歴史を頼もしき仲間と切り開く。◆「横浜以外愛せない」 「必死の形相で戦う選手を見て、やってくれると思っていた」。歓喜の舞台となったマツダスタジアム(広島市)には、横浜からも熱狂的なベイスターズファンが駆け付けて声をからし、ラミレス監督の胴上げに胸を熱くした。

 横浜市中区の男性会社員(48)は横浜大洋ホエールズ時代のユニホームで応援。「負け続けた時代が長かったけど、もはや横浜以外は愛せない。強くなったチームを見るのが不思議な感じ」と感慨に浸った。

 1998年の日本一から19年。長期低迷にも応援をやめなかったのは「横浜スタジアムが自分のパワースポットだから」とファン歴40年の男性会社員(44)=東京都足立区。日本シリーズに向けて「不器用だけど、這いつくばって前へ進むようなベイスターズらしい強さをみせてほしい」と期待を込めた。

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