【JFEスチールが技術供与する印JSW社の経営戦略】〈サジャン・ジンダル社長に聞く〉「2020年に2450万トン体制構築へ」 インドで買収検討、JFEと連携も

 JFEスチールが15%出資するインドのJSWスチールは、国内需要増に呼応した生産販売数量拡大と合わせ、JFEから技術供与を受けた高付加価値製品へのシフトを進めている。規模拡大も狙う成長戦略について、サジャン・ジンダル社長にブリュッセル市内のホテルで聞いた。(ブリュッセル発=一柳朋紀)

――JFEスチールから技術供与を受けた冷延ミル、連続焼鈍設備(CAL)、CGLの稼働状況は。

 「年産能力230万トン(内訳は冷延鋼板180万トン、溶融亜鉛めっき鋼板50万トン)あるがほぼフル稼働で、9割の稼働率となっている。自動車向けが堅調で、半年以内には100%稼働になるのではないか」

サジャン・ジンダル社長

――同じく技術供与を受けた無方向性電磁鋼板(NO)ラインについて。

 「電機セクターの需要が旺盛で、フル稼働となっている。もう1基、同じようなラインを新設することについて、JFEスチールと検討している」

――会社全体の生産能力拡大計画について。

 「当社の年産能力は現在1800万トン。(1)主力のビジャヤナガル製鉄所が1200万トン(2)旧イスパットのドルビ製鉄所が500万トン(3)セーラム製鉄所が100万トン―となっている」

 「ドルビ製鉄所は500万トン上乗せして1千万トン体制とする。すでに設備投資に着手している。またビジャヤナガル製鉄所は150万トン上乗せし、1350万トンとする。この2製鉄所で650万トン増やし、2020年3月までにインド国内で2450万トン体制を構築する計画だ」

――それとは別に、インド内で経営に行き詰まった他の鉄鋼メーカーを買収する可能性がありそうです。

 「検討しており、機会をうかがっているのは事実だ。どういう組み合わせで国内鉄鋼メーカーを再編統合したらうまくいくか。当社にとって経済合理性が高いかを検証している」

 「買収するとなったら当社単独でやるか、JFEスチールと共同でやるか、資金負担の面から投資会社を入れるか、などの選択肢を検討している。戦略面で考えれば、JFEスチールとともに実行するのが正しい在り方だと考えている。資金負担を考えて、投資会社(ファンド)を呼び込むことも選択肢としては考えられる」

――伊藤忠丸紅鉄鋼との合弁コイルセンターについては。

 「西部のプネと北部のニューデリーで運営している。さらに自動車メーカーのマルチスズキに近いグジャラート州やチェンナイなどに増設する案について、伊藤忠丸紅と議論しているところだ」

――原料購買の方針について。

 「過去は100%外部から購入していたが、鉄鉱石についてまずは15%を自給化できるめどが付いている。徐々に自社権益鉱山からの購買を増やし、将来的には自給比率を50%に引き上げたい。石炭について外部調達100%の状態は変わらない」

© 株式会社鉄鋼新聞社