金属行人(10月25日付)

 ひどく長い秋雨もようやく去り、晴れ間がのぞく。久しぶりにすがすがしい気分になる。ただ、秋にこれだけ雨が続いた記憶はない。地球温暖化の影響なのだろうか。最近続く企業の不祥事も、これほど立て続けに起こったというのは記憶にない▼東芝、タカタ、日産、商工中金…。大企業の数々の不祥事は人々の気持ちを不安にする。金属業界でも神戸製鋼所で製品データの改ざん問題があった。問題のない製品まで不安視されるのは風評被害ではないかとの見方もあるが、ガバナンスの欠如が製品全体への信頼低下を招く側面は否めないだろう。業界、そして神鋼およびその関連企業で働く人たちのためにも、早期の信頼回復と正常化を望みたいところだ▼なぜ、不祥事が日本企業でこうも続くのか。その答えは難しいが、今まで日本を支えてきた仕組みの疲労が原因かもしれない。例えば、鉄鋼業でも、原料価格の契約期間が短くなり、また世界の粗鋼生産量の半分を占める中国相場が短期で上下する中、今のやり方ではこうした変化に迅速に対応し切れないところもある▼企業は変化しないと生き残れないという。ただ、「変わる」というのは、難しい。変わることが正解とも限らないが。

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