【新日鉄住金グループ企業の〝今〟(4)】〈日鉄住金鋼管〉最適操業体制を構築 製販で親会社と連携強化

 日鉄住金鋼管(社長・中西廉平氏)は、新日鉄住金発足後1年経った2013年10月に住友鋼管と日鉄鋼管が経営統合して発足した。以後、自動車向けや一般構造用鋼管などの分野で製造や品質保証の管理基準統一、安全・環境・防災への取り組みや会社諸制度の統一など推進。国内外の生産体制最適化と合わせ、競争力を強化してきた。

 設立当初、中西社長は「新日鉄住金グループ電縫鋼管事業の総力を結集し、生産体制の最適化・技術開発・納期対応力などを強化することで他の電縫鋼管専業メーカーにはない強みが出せる。連結売上高1200億円規模で、中長期的にはROS(売上高経常利益率)10%水準の達成を目指す」としていた。その目標は、発足3年後の17年3月期、連結売上高1175億9600万円、経常利益経常利益111億3300万円、ROS9・4%とほぼ達成された。

 発足当時からメカニカルと建材両分野において、顧客からの理解を得た上で新日鉄住金との販売品種すみ分けを実施している。また、生産体制比較による製造所間の技術移転なども行い、適材適所の生産体制を構築してきた。

 14年12月末には和歌山製造所(和歌山県和歌山市)の24インチミルを休止。15年には堺製造所(大阪府堺市堺区)と川崎製造所(神奈川県川崎市川崎区)を休止し、5製造拠点体制による最適な生産配分を進めている。

 海外事業では、製造販売両面で国内外の連携を強化する観点から、親会社保有の海外子会社株式を譲り受け、子会社化。また、国内同様、各拠点の最適製造体制の構築に努めてきた。

 16年1月にタイ国内でサイアム・ニッポン・スチール・パイプ(SNP)とタイ・スチール・パイプ・インダストリー(TSP)を事業統合し、新会社「ニッポンスチール&スミキンパイプ(タイランド)」(略称・NSPCT)を設立し、7カ国8拠点となった。

 新日鉄住金本体とは、製造面で相互OEMの関係にある。国内建材分野ではプロジェクト物件の受注促進、自動車分野では新素材、新技術開発・研究とともに海外現調化ニーズの捕捉、電気自動車や燃料電池車への新規鋼管需要への対応で、親会社の営業や研究開発部隊と連携を密にしている。

 今後も、新日鉄住金グループの電縫鋼管事業の中核として、コストや品質の競争力を高めつつグループ全体の最適生産体制を考慮した効率化を推進。海外では、日本国内品と同じ品質の材料、技術供給などもPRし、現調化ニーズを捕捉していく。新日鉄住金グループの誇る3DQ(3次元熱間曲げ焼き入れ)など新しい加工技術なども随時提案していく方針だ。(このシリーズは毎週水曜日に掲載します)

 企業概要

 ▽本社=東京都千代田区

 ▽資本金=58億3189万円(新日鉄住金100%)

 ▽社長=中西廉平

 ▽売上高=1175億9600万円(17年3月期)

 ▽主力事業=二輪車・四輪車用、土木・建築用炭素鋼鋼管、自動車・装飾用ステンレス鋼管の製造・販売

 ▽従業員=4796人(連結:17年3月末現在)

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