NASCAR第32戦:急死したクルーに捧げる。トヨタのトゥルーエクスJr.が7勝目

 モンスターエナジーNASCARカップは10月22日、第32戦カンザスが行われ、マーティン・トゥルーエクスJr.(トヨタ・カムリ)がシーズン7勝目を手にした。

 チェイスから改称されたチャンピオン決定戦、“プレーオフ”の第2ステージ最終戦となったNASCARカンザス。このレース終了時点でチャンピオン候補は12名から8名に絞られる。

 予選ポールポジションから267周の決勝レースに挑んだトゥルーエクスJr.だったが、1度目のリスタート時に、後続車を抑えようとしたところ、スタート/フィニッシュラインを超える前にライン取りを変えたと裁定されペナルティ。31番手まで後退してしまう。

 その後、着実にポジションを上げ、80周目までのステージ1を8位で終えたトゥルーエクスJr.だったが、ステージ2開始から10周が経過したところで、マシンのバイブレーションを訴え緊急ピットイン。タイヤ交換を余儀なくされ、160周目までのステージ2を14位で終えた。

 迎えた最終ステージは198周目に14台が絡む多重クラッシュがあり、レースは赤旗で中断される。

 10分後、レースが再開されると4番手までポジションを上げていたトゥルーエクスJr.は上位3台を猛追。そして、210周目にトップを走るカイル・ブッシュ(トヨタ・カムリ)を交わして首位に返り咲いた。

 その後、レースには1度イエローコーションが導入されたが、トゥルーエクスJr.は首位を快走し、最終的に2.284秒のマージンをもってトップチェッカーを受けた。

 予選後の21日深夜に、今年からチームに加わったばかりのジェームス・“ジム”・ジョンソンが心臓発作で亡くなったこともあり、トゥルーエクスJr.は「ファニチャー・ロウ、トヨタのスタッフに感謝してもしきれない」と述べている。

「彼らの働きを誇りに思うよ。昨夜、ジムが亡くなったことで重い気持ちを抱えてレースを戦った」

「彼の家族や友人に哀悼の意を示したい」

モンスターエナジーNASCARカップ第32戦カンザス

 このNASCARカンザスでは不運に見舞われるドライバーも相次いだ。

 カイル・ラーソン(シボレーSS)は76周目にエンジンに不調を訴えピットイン。ピットクルーがボンネットを開けて問題を探したものの、異常は見当たらず再度コースへ戻ったが、77周目にエンジンブローを起こして戦線を離脱した。

 7度のNASCARチャンピオンであるジミー・ジョンソン(シボレーSS)はレース中盤に2度のスピンを喫したほか、マット・ケンゼス(トヨタ・カムリ)は198周目の多重クラッシュ発生直後のピットで、規定より1名多い7名のクルーが作業に当たってしまい失格処分を受けている。

 第33戦からのプレーオフ第3ラウンドへの進出権を手にしたのは、トゥルーエクスJr.のほか、カイル・ブッシュ、ブラッド・ケゼロウスキー(フォード・フュージョン)、ケビン・ハービック(フォード・フュージョン)、ジミー・ジョンソン、デニー・ハムリン(トヨタ・カムリ)、ライアン・ブレイニー(フォード・フュージョン)、チェイス・エリオット(シボレーSS)の8名だ。

 プレーオフ第3ラウンド初戦の第33戦は10月29日、バージニア州のマーティンズビル・スピードウェイで行われる。

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