清水建設の制振ダンパー、日本建築センターの評定取得 慣性質量効果で揺れ低減

 清水建設はこのほど、高性能制振ダンパー「ダイナミックスクリュー」の評定を日本建築センターから取得した。制振性能とこれを用いた建物の耐震設計手法の信頼性が認証されたもので、評定の取得により設計審査が簡素化されるため、審査完了までの設計期間を短縮できる。

 本製品は柱・梁フレームの中に設置する制振装置。地震時の建物の揺れのエネルギーをおもりの回転運動に置換して吸収する。おもりの自重の4500~7千倍の重量に匹敵する力(慣性質量効果)を発揮し、建物の揺れを低減する。通常、建物の揺れの周期に同調させたおもりを用いて建物の揺れを抑える同調系の制振機構では理論上、建物重量の3%程度のおもりが必要とされる。

 本製品は慣性質量効果により、理論上必要とされる4500分の1~7千分の1のおもり重量で同様の効果を実現する。評定取得に際し2500トン、4千トン、6500トンの回転慣性質量が作用する3タイプについて、装置のサイズや性能を規定し標準化。この標準化により、ダンパーを個別設計する場合に比べ制作費を3割程度低減できる。

「竹芝ウォーターフロント開発計画高層棟」の完成予想図

 1年近くに及んだ各タイプの性能実証実験の結果に基づいて構造性能を定式化し、動的挙動を精緻に表現できる解析モデルを構築。装置を適用する建物の合理的な耐震設計手法も確立している。こうした解析モデルや設計手法の活用により、低層から超高層に至る建物の構造特性を踏まえて最適なタイプの装置を選択でき、ニーズに応じて最適な制震効果を発揮する建物を効率的に設計できる。

 これまで13件の採用実績があり、14件目を着工する。東日本旅客鉄道が東京・港区に建設する26階建ての超高層ビル「竹芝ウォーターフロント開発計画高層棟」で、2次モードと呼ばれる〝くの字〟を描くような建物の揺れを、4階に設置予定のダイナミックスクリュー(6500トンタイプ)6台で効果的に制御する。

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