韓・東部製鉄の電炉設備、イラン企業への売却断念

 韓国の大手リローラー、東部製鉄は、唐津工場の電炉・熱延ミル売却をめぐるイラン企業との交渉が決裂したと発表した。今後は他国の売却を探ることになる。

 唐津(牙山湾)の電炉と熱延ミルは東部製鉄の業績悪化に伴い休止した設備。東部はこれらを売却し、現金化することで経営再建の一助とする予定だった。

 まとまりかけていたイラン企業への売却が白紙となったのは、米国とイランの関係悪化が指摘される。トランプ大統領が就任して以降、イランに対する経済制裁が再び強まる可能性が浮上。東部製鉄の経営を事実上、つかさどっている韓国産業銀行など債権団が「米国政府の目を気にするようになり、イラン企業への設備売却が難しくなった」(商社幹部)。

 東部製鉄の電炉はイタリアのダニエリ製、熱延ミルは三菱日立製鉄機械(現プライメタルズ・テクノロジーズ・ジャパン)製で、年産300万トン規模。東部が熱延コイルの自給化を狙い2009年に稼働したが、一貫生産のメリットを発揮できず14年に休止している。

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