非鉄流通の中尾金属、トラバーススリッター能力増強 車載部品の加工ニーズ捕捉

 非鉄金属流通の中尾金属(本社・東京都中央区日本橋本石町、社長・藤田貴弘氏)は、2019年をめどにトラバーススリッターの能力を増強する。車載用部品や通信機器関係の需要拡大が予想される中で、ユーザーの薄物の長尺ニーズに応えていく。

 静岡加工センターは、銅・銅合金のスリット加工をはじめとした非鉄金属加工を手掛ける同社の主力拠点。パンケーキスリッター、トラバーススリッターなどを保有し、銅・銅合金条の加工を得意としている。

 トラバーススリッターは条割りしたコイルをミシン糸のように巻き芯の幅方向に板条を動かしながら巻き取る装置。主に量産品向けの設備で、通常の巻き方に比べて巻き取り長さを飛躍的に伸ばすことが可能。ユーザーは段取り替えの回数を減らせるため、生産効率を高めることができる。

 静岡加工センターには、現在2基のトラバーススリッターが置かれており、材料幅50~300ミリ、製品幅6・8~68ミリ、板厚0・08~1・6ミリまで対応している。現在品質を高めながら生産性の向上を進めているが、すでに設置から25年が経過した設備であることに加えて「銅合金条だけでなくステンレスやアルミ、亜鉛材料などの異種材料加工の需要もあり、今後も積極的に取り込んでいきたい」(藤田貴弘社長)ことから、19年をめどに設備投資を実施する計画だ。

 銅条マーケットをめぐっては、自動車の電装化によって薄物端子向けの需要が拡大しているほか、量産に適したコイルの長尺化ニーズが高まっている。一方で電気自動車が世界的に普及していく中で、それらの部品に利用される厚物製品の加工依頼も増えている。中尾金属はこうした二極化する需要に対応するため、生産性の効率化に合わせて設備増強を進めていく考えだ。

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