CS投打成績から見る日本シリーズ勝負の行方、両チームともに総力戦の様相

DeNA・筒香嘉智とソフトバンク・内川聖一【写真:荒川祐史】

交流戦は35勝17敗1分でソフトバンクがDeNAを圧倒

 いよいよ今年のNPBも最終決戦、28日から日本シリーズが始まる。今年はパ・リーグ1位のソフトバンクに、セ・リーグ3位のDeNAが挑む形。注目のシリーズにおける勝負のポイントを上げてみたい。

 交流戦が始まった2005年以降、ソフトバンクとDeNAは毎年対戦している。その勝敗を見ていこう。ソフトバンクから見た勝敗は次の通りだ。

○ソフトバンクのDeNA戦勝敗

2005年 4勝2敗
2006年 5勝1敗
2007年 0勝4敗
2008年 4勝0敗
2009年 4勝0敗
2010年 2勝2敗
2011年 3勝1敗
2012年 1勝2敗1分
2013年 3勝1敗
2014年 2勝2敗
2015年 2勝1敗
2016年 3勝0敗
2017年 2勝1敗

通算35勝17敗1分

 ソフトバンクが圧倒的に勝ち越している。DeNAは2015年までポストシーズンに出ることができない、セの弱小球団だった。当然ながら、交流戦でも非常に弱かった。

 DeNAは昨季から2年連続でペナントレースで3位になったが、それでも交流戦ではソフトバンクに1勝5敗と負け越し。普通に考えれば、DeNAには勝ち目がなさそうだ。

 しかし、ポストシーズンに入ってからのDeNAは、ソフトバンクに勝る勢いを持っている。

打撃成績から見る両チームの強みは…

 CSの両チーム打撃成績を比較してみよう。

○DeNAの打撃成績(ファーストステージとファイナルステージの通算)

桑原将志 32打9安1本5点2盗3球 打率.281
筒香嘉智 33打10安3本 6点0盗2球 打率.303
ロペス 33打11安1本7点0盗1球 打率.333
梶谷隆幸 28打10安1本4点0盗6球 打率.357
柴田竜拓 27打11安0本0点1盗4球 打率.407
宮崎敏郎 32打9安2本5点0盗1球 打率.281
倉本寿彦 27打7安0本2点0盗1球 打率.259
嶺井博希 21打6安0本2点0盗0球 打率.286
戸柱恭孝 7打0安0本0点0盗0球 打率.000
細川成也 3打1安0本1点0盗2球 打率.333
乙坂智 4打2安1本5点0盗0球 打率.500
投手陣 15打4安0本1点0盗2球 打率.267

チーム計 297打88安9本40点3盗26球 打率.300

 DeNAは、主力陣がまんべんなく当たっている印象だ。8試合で9本塁打、チーム打率3割と、シーズン中にも増して打線は好調だ。特に、波に乗ると手が付けられない梶谷の調子が上がっていることに注目したい。

 28日からの2試合はソフトバンク本拠地での開催なのでDH制が採用されるが、ラミレス監督は誰をDH起用するか。意外性のある戸柱か? 好調な若手の細川、乙坂か?

 さらに、31日からのDeNA本拠地での試合では投手が打席に立つ。ラミレス監督は8番に投手を入れ、しばしば好機を作っている。投手の打率は.267と打者並みに好調だ。これがソフトバンクに対するアドバンテージになる可能性もある。

○ソフトバンクの打撃成績(ファイナルステージのみ)

今宮健太 19打4安1本1点1盗0球 打率.211
中村晃 19打7安2本3点0盗0球 打率.368
内川聖一 18打7安4本7点0盗1球 打率.389
松田宣浩 18打5安1本5点0盗1球 打率.278
デスパイネ 17打3安1本2点0盗3球 打率.176
明石健志 12打2安0本0点1盗1球 打率.167
長谷川勇也 10打4安0本1点0盗0球 打率.400
高谷裕亮 7打2安0本1点0盗2球 打率.286
城所龍磨 6打2安0本0点0盗0球 打率.333
柳田悠岐 4打2安0本1点0盗0球 打率.500
福田秀平 3打1安0本0点0盗0球 打率.333
上林誠知 5打0安0本0点0盗0球 打率.000

チーム計 154打41安9本21点2盗10球 打率.266

 こちらも打線は上り調子。内川が4試合連続本塁打など調子を上げている。中村晃が好調で、松田宣浩もファイナルステージの終盤に当りが戻ってきた。さらに心強いのは、柳田の戦列復帰だろう。戦力は充実しつつある。

 工藤監督は、シーズン中ほとんど実績がなかった城所や長谷川勇也などを起用し、結果を出している。日本シリーズでもレギュラーシーズンとは異なる選手起用がありそうだ。

投手力の比較から見える両チームの傾向

 両チームの投手陣を比較してみよう。

○DeNAの投手陣

ウィーランド 2試2勝0敗0S0H 12回 防御率3.00
井納翔一 2試1勝1敗0S0H 11.1回 防御率1.59
石田健大 2試0勝1敗0S0H 6回 防御率7.50
濱口遥大 2試1勝0敗0S1H 9回 防御率2.00
山崎康晃 6試0勝0敗2S0H 6回 防御率0.00
パットン 6試0勝0敗0S2H 5.2回 防御率0.00
今永昇太 2試0勝0敗0S1H 5回 防御率5.40
三上朋也 5試1勝0敗0S2H 3.1回 防御率5.40
エスコバー 5試0勝0敗0S3H 4回 防御率0.00
三嶋一輝 1試1勝0敗0S0H 2回 防御率0.00
砂田毅樹 3試0勝0敗0S0H 1回 防御率18.00
須田幸太 2試0勝0敗0S1H 1.1回 防御率0.00
田中健二朗 1試0勝0敗0S0H 0.1回 防御率0.00

チーム計 8試6勝2敗2S10H 67回 防御率2.69

 CSでは、ウィーランド、井納、石田は先発だけで起用されたが、濱口は先発と救援の両方で起用され、レギュラーシーズンは先発だった今永は救援に徹した。日本シリーズでも”シリーズ仕様”の投手起用が見られることだろう。救援陣はパットン、エスコバー、山崎と「勝利の方程式」が絶好調だ。

○ソフトバンクの投手陣

武田翔太 1試1勝0敗0S0H 7回 防御率0.00
千賀滉大 1試0勝1敗0S0H 6.1回 防御率1.42
東浜巨 1試0勝1敗0S0H 5.2回 防御率4.76
和田毅 1試0勝0敗0S0H 5回 防御率9.00
バンデンハーク 1試0勝0敗0S0H 4.2回 防御率3.86
岩嵜翔 4試1勝0敗0S0H 4回 防御率0.00
サファテ 3試0勝0敗2S0H 3回 防御率0.00
モイネロ 3試0勝0敗0S1H 3.1回 防御率0.00
石川柊太 3試1勝0敗0S1H 2.1回 防御率0.00
森唯斗 4試0勝0敗0S1H 2.2回 防御率0.00
嘉弥真新也 3試0勝0敗0S1H 1回 防御率0.00

チーム計 5試3勝2敗2S4H 45回 防御率2.06

 こちらはファイナルステージ5試合で5人の先発投手が投げた。その出来はまちまちだったが、続く救援投手は5試合で1点も許さない完璧リリーフだった。

 先発陣がリードを保って救援にバトンタッチすれば、高い確率で勝利につながる。ポイントは、先発投手の出来だろう。

 DeNA、ソフトバンクともに好調を維持して、日本シリーズの大一番を迎える。故障していた選手も戻り、総力戦になるだろう。

 短期決戦の常として、まずは初戦の戦い方が重要だ。両チームはどんな立ち上がりを見せるか楽しみだ。

(Full-Count編集部)

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