共生探る歩みこれからも 外国人支援「カラバオの会」が30周年

 横浜市中区の寿町を拠点に外国人支援を続けてきた「カラバオの会」が、発足30周年を迎えた。神奈川などで暮らす外国人の労働や言語、暮らしの問題に向き合い続けてきた市民団体。28日には市技能文化会館(同区)で記念集会を開き、国籍やルーツが異なっても共生の道を探っていこうと決意を新たにした。

 「助けてくれたことは忘れられない。この場所を知れて良かった」。登壇したタイ国籍の女性(51)は、家族4人で在留特別許可を獲得するために同会と共闘した2年間を振り返った。

 病を患ったため、特定活動として1年間のビザが与えられた。しかし、オーバーステイの夫をはじめ、娘や息子は退去強制処分になりかけた。家族がばらばらにならないよう同会とともに奔走し、許可を獲得。今は会のスタッフとして外国籍の友人に声を掛けるなど活動を続けている。

 スタッフの渡辺英俊さん(84)は「カラヤさんは困っている人を助けようと自ら動いてくれる人」と笑顔を見せ、「外国人の問題は日本社会の問題。どんな人ものびのびと暮らせるような豊かな社会を目指したい」と前を向く。

 集会では一橋大名誉教授の田中宏さんによる「日本に住む外国人−その30年」と題した講演も実施。田中さんは介護や建設分野で外国人労働者の増加が見込まれることを踏まえ、「日本人だけで社会は成り立たない。どうしたら共存していけるか考えていくべきだ」と訴えた。

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