満腹感も高まりストレス解消。こってりラーメンより「鰹だし」のススメ

ストレスがたまると、焼肉やこってりラーメン、またスイーツなどを食べて解消というパターンになっていませんか? そんなときには、鰹だしがおすすめです。

おいしさにやみつきになる脳のメカニズム

油っぽいものや甘いものを食べると幸せな気分になれるため、ついついこってりしたラーメンやスイーツを食べる習慣がつきがちです。

人間が生きるうえでエネルギーや体をつくるために必要な栄養素が、糖質・脂質・タンパク質(アミノ酸)で、甘味や油脂や旨味を構成する物質です。生きるために必要な栄養素を「おいしい」と感じ、本能的に食べるように促すのです。

おいしいものを食べると、脳からβ-エンドルフィンなどの物質が出て快感を得ます。さらにドーパミンが出ると「もっと食べたい」という欲求が出て、やみつきになってしまうように作用するのではないかと考えられています。

生活習慣病が問題となっている今、ストレス解消においしいものを食べて発散することは肥満にもつながるため、控えめにしなければと注意を受けている人も多いことでしょう。

そこでおすすめしたいのが「鰹だし」です。

鰹だしは、満腹感を高め、肥満を抑える?

これまでにも鰹だしを飲むことで、疲労回復や血流の改善に役立つという研究報告はされていましたが、京都大学の研究では、油や糖分と同じく鰹だしでも脳から快楽物質が出てやみつきになる効果があるそうです。

さらに鰹だしの成分が胃の運動を促進して満腹感を高めるそうです。事前に習慣的にだしを摂取していると、高カロリーの食事をしても、食習慣に影響が出ずに健康的な食生活を維持できる可能性があることも判明しました。

ほかにも、鰹だしに含まれるヒスチジンよって、食欲抑制、内臓脂肪分解などにつながるという報告もあります。

帰宅後はラーメンより「だし」を

肉類や脂肪の摂取量が多く高カロリーの食事の欧米と比べて、伝統的な日本の食事は脂質やタンパク質の少なめの淡白な食事で、だしの旨味を効かせて満足感を得るとされています。

世界各国から日本の食事がヘルシーといわれるのは、「一汁三菜」という献立で栄養バランスがとれた食事であるからと同時に、低カロリーでもだしのうまみを効かせて満足できるおいしさが楽しめるからです。

日本料理のお店では、椀物がメイン料理とされますが、椀物のふたをとってたちのぼる湯気とともに香るだしの香り、そしてだしを味わうと、なんともいえない充足感に満たされます。

シンプルなだしを一杯飲むと疲れが癒される気分になれませんか? シンプルで低カロリーなだしなら、やみつきになって毎晩飲んでも、こってりラーメンやスイーツより低カロリーです。

鰹だしのポイント

日本料理の欠点は、塩分を多めにとりがちなところです。そういう意味でも、塩分が多めの麺類の汁は、夜食などには控えたいものです。食事としてではなく、嗜好品のようにだしを飲む場合も、塩や薄口醤油なども加えずに飲むとよいでしょう。作り立てで、香りがよく、旨味が出ていれば、それだけでも十分においしくいただけます。また鰹だしでも、油や糖分と同様に快感を得られるという研究では、香りが大きく影響するということでした。

昆布の旨味はグルタミン酸、鰹節の旨味はイノシン酸、干し椎茸はグアニル酸というように、それぞれ旨味成分は異なります。昆布だけ、鰹ぶしだけではなく、昆布+鰹節になると、旨味の相乗効果でおいしさが何倍にもなるそうです。

遅い帰宅で、一からだしをとるのは面倒という方には、だしパックの商品などを使われるとよいでしょう。昆布や鰹、あごだしなどおいしくブレンドされたものなどがあり、手軽に使えます。

(文:南 恵子)

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