【弁ばね用線の世界最大手・日鉄住金SGワイヤ子会社「スズキ・ガルピッタン」】17年、8%増収で売上高最高へ 車向け好調、販売数量も最高

 新日鉄住金の100%子会社である日鉄住金SGワイヤの子会社で、自動車のエンジンやクラッチに使う弁ばね用線の世界最大メーカーであるスズキ・ガルピッタン(略称・SG社、本社・スウェーデンのガルピッタン、ヤン・ピータース社長)は、2017年の売上高・生産販売数量が過去最高を更新する見込みだ。売上高は前16年比で8%増となる見通し。数量の増加に加え、市況上昇もあって販売価格が前年比でやや上昇しており、いずれも売上高増加に貢献している。

 SG社の売上げ構成は、弁ばね用オイルテンパー(OT)線が75%、異形線・ステンレス鋼線が23%、バネが2%。全体の2%となっているが、自社が生産する鋼線から「ばね」を生産する「ばねメーカー」の顔も持つ。ばねは1930年代から取引のあるスウェーデンのボルボ社、スカニア社のトラックメーカー2社に供給している。

 SG社の工場は(1)スウェーデン・ガルピッタン(2)アメリカ・サウスベンド(3)中国・蘇州(4)メキシコ・サンホセイトゥルビデ―の4カ所ある。これに日鉄住金SGワイヤの習志野工場を合わせ、OT線はグループで世界5拠点体制。

 ガルピッタン工場ではOT線、異形線、ステンレス鋼線を生産しているが、今年も主力の自動車向けが好調で、前年を上回る勢いとなっている。

 SG社は09年、当時の鈴木金属工業(現・日鉄住金SGワイヤ)が買収して傘下に収めた弁ばね用線の世界1位メーカー。新日本製鉄(当時)グループの鉄鋼事業としては初の海外企業M&A案件として注目を集めた。

 買収側の鈴木金属は弁ばね用OT線で世界2位だった。1位、2位企業の統合で、今や日鉄住金SGワイヤグループはOT線で世界シェア推定45%(弊紙推定ベース、旧鈴木15%、SG社30%)を持つトップメーカーとなっている。(スウェーデン・ガルピッタン発=一柳朋紀)

© 株式会社鉄鋼新聞社