【新日鉄住金エンジのフィリピン拠点「PNSコンストラクション」社、設立20周年】「世界基準のサービス提供」

 新日鉄住金エンジニアリングのフィリピンの関連会社、PNSコンストラクションは1997年に旧・新日本製鉄の建築・鋼構造事業の営業拠点として設立。以降、新日鉄住金エンジニアリングのフィリピンにおける事業展開の拠点として、市場開拓やプロジェクト実行などの機能を発揮し、今年で設立20周年を迎えた。

 今年4月に社長に就任したアーチェレス・ドゥマンダン氏は「記念すべき年を社長として迎えることができ、とても嬉しい。20周年は通過点で、プレッシャーも感じる」と気を引き締める。

 アーチェレス社長は約10年前に入社し、シビルエンジニアとして活躍してきた。新日鉄住金エンジは『2020戦略目標』で『海外の成長地域での展開(Global×Local)』を掲げ、ローカルスタッフを中心とした現地の事業推進体制の強化を図っている。また、女性活躍推進についても積極的で、厚生労働省から優良企業として認定マーク『えるぼし』の最高位を取得するなど、その取り組み姿勢への評価は高い。アーチェレス社長の誕生はこうしたダイバーシティの姿勢をまさに具現化したものとも言える。

 PNSコンストラクションはアーチェレス社長のほか日本人2人、ローカルスタッフ4人と小所帯だが、新日鉄住金エンジの建築・鋼構造事業のみならず、社全体のフィリピン事業や新日鉄住金の営業支援も行うなど中核会社で、その活動内容は広い。アーチェレス社長は官公庁を含めたビジネス社会で広い人脈を持ち、人望も厚く社長には適任だ。「責任は重く両肩にプレッシャーがかかっているが、社長を務めた中原秀夫顧問や社員のサポートで軽くなっている」と謙虚に周囲の支援を感謝する。

 PNSコンストラクションは「働きやすく一つにまとまっており、風通しもよい」との印象。社長として「会社を大きくしていくことが夢。世界基準の技術を提供しつつローカルで戦える会社にしたい」と語る。ただ「日本の製品・技術をそのまま持ってきても浸透しにくい。ローカルのリソースを用いることが重要だ」と強調する。「アライアンスなどローカル企業とのコラボレーションを進め、世界基準の高品質なサービスをフィリピンで提供していくことが〝Global×Local〟だと理解している」とアーチェレス社長。全社戦略を確実に咀嚼(そしゃく)して事業を展開していく。(村上 倫)

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