11月の2週目から、サッカー界は今年最後のインターナショナルマッチウィークへ突入。
2018年ワールドカップに向けた予選はいよいよ最終章を迎え、この月に行われる試合で全日程が完結する。
なかでも注目度の高いのは、やはり大陸間プレーオフと欧州プレーオフだろう。
ワールドカップに向けた出場権をかけた直接対決であり、まさに全試合が"Dead or Alive"の戦いである。
これまでにも様々なドラマのあったワールドカップに向けたプレーオフ。そこで今回は、編集部のそれぞれに忘れられない試合を教えてもらった。
編集部O
2006年ワールドカップ予選
大陸間プレーオフ オーストラリア 対 ウルグアイ
試合日:2005年11月12日, 16日
1stレグ:ウルグアイ 1-0 オーストラリア
2ndレグ:オーストラリア 1-0 ウルグアイ(4-2 on penalty)
→オーストラリアが本大会に出場
【コメント】
2大会連続で顔を合わせた両チーム。オーストラリアは前回のプレーオフ、ホームで1-0と先勝しながら第2戦でまさかの完敗(0-3)を喫しており、そのリベンジもかかった一戦だった。
第1戦の結果はアウェイで0-1。4年前とは逆の状況に追い込まれたオーストラリアだが、毎回プレーオフで南米勢との対戦を強いられ高い壁に跳ね返されてきた彼らは、“そのとき”を渇望していた。
運命の第2戦、8万人超の大観衆が詰めかけたホームで1-0の勝利を手にすると、PK戦の末に見事勝利。32年ぶり2度目のワールドカップ出場を決めたのである。
ちなみに、オーストラリアはこの年(2005年)にAFCへの転籍が承認。
以降はアジア代表として予選突破を続けており、久々に大陸間プレーオフを戦う今回、ホンジュラスを相手にどのような戦いを見せるか注目される。
編集部I
1998年ワールドカップ予選
大陸間プレーオフ イラン 対 オーストラリア
試合日:1997年11月22日, 29日
1stレグ:イラン 1-1 オーストラリア
2ndレグ:オーストラリア 2-2 イラン
→イランが本大会に出場
【コメント】
「ジョホールバルの歓喜」で日本に敗れたイランと、当時はオセアニア所属だったオーストラリアの激突。
テヘランでは1stレグには128,000人、メルボルンでの2ndレグには85,000人が駆けつける超熱戦となった。
2戦合計スコアは3-3だったものの、アウェイゴールによりオーストラリアは敗退…。
豪州にとってはいまだトラウマ的なものになっているが、両者は来年に20年ぶりに試合を行うとも伝えられている。
編集部H
2006年ワールドカップ予選
大陸間プレーオフ トリニダード・トバゴ 対 バーレーン
試合日:2005年11月12日, 16日
1stレグ:トリニダード・トバゴ 1-1 バーレーン
2ndレグ:バーレーン 0-1 トリニダード・トバゴ
→トリニダード・トバゴが本大会に出場
【コメント】
今回のアイスランドに破られるまで、人口最小のワールドカップ出場国だったトリニダード・トバゴ。
わずか130万人ほどの小国ながら、ヨーク、ラタピー、スターン・ジョンらが同時代に生まれたことは奇跡に近かった。
そんな黄金世代の選手たちが揃って出場する最後のチャンスを掴んだ2006年大会のプレーオフは忘れられない思い出だ。
編集部Q
2002年ワールドカップ予選
大陸間プレーオフ オーストラリア 対 ウルグアイ
試合日:2001年11月20日, 25日
1stレグ:オーストラリア 1-0 ウルグアイ
2ndレグ:ウルグアイ 3-0 オーストラリア
→ウルグアイが本大会に出場
【コメント】
当時1994年、1998年とワールドカップ出場を逃し、古豪という扱いをされることが多くなっていたウルグアイ。
アルバロ・レコバを中心とするチームはアウェイでは0-1の敗戦、勝たなければならないホームでオーストラリアを激闘の末に3-0と下し32ヵ国目、つまり本大会へ最後のチームとして出場を決めた。
肩ぐるまされたレコバやゴールポストによじのぼったウルグアイ代表チームの写真は美しく、スポーツ写真が名画でもあることを感じさせた。
なお、2006年も同じ顔触れでの対戦となっているが、今度はフース・ヒディンク監督のマジックにより徹底したウルグアイ対策が行われオーストラリアが勝利している。
編集部S
2014年ワールドカップ予選
欧州プレーオフ ポルトガル 対 スウェーデン
試合日:2017年11月15日, 19日
1stレグ:ポルトガル1-0 スウェーデン
2ndレグ:スウェーデン 2-3 ポルトガル
→ポルトガルが本大会に出場
【コメント】
ワールドカップ出場をかけたプレーオフ史上、最も豪華な選手が揃ったのがこの一戦だろう。クリスティアーノ・ロナウドとズラタン・イブラヒモヴィッチが、ポルトガルとスウェーデンのキャプテンとして激突したのだ。
対戦が決定した際、サッカーファンの多くが「ロナウド、イブラヒモヴィッチのどちらかが本大会で見られないなんて…」という複雑な気持ちになったはず。
そして何より凄かったのは、この2試合で生まれた全6得点を両者が叩き出したいうこと。サッカーはもちろんチームスポーツだが、最後の最後まで「ロナウドvsイブラヒモヴィッチ」な試合だった。
ちなみに、イブラヒモヴィッチが「オレのいないワールドカップなんて見る価値がない」と言ったのはこの試合後のこと。