住民同士の助け合いを 横浜、実践者5人が講演

 地域福祉に携わる個人や団体の功績をたたえる横浜市社会福祉大会が30日、関内ホール(横浜市中区)で開かれた。各区の民生委員やボランティア団体などが表彰されたほか、住民の助け合いを元にした福祉活動を取り上げた本「横浜発 助けあいの心がつむぐまちづくり」(ミネルヴァ書房)の発行を記念し、同書に登場した5人の女性が記念講演を行った。

 NPO法人グループたすけあい(青葉区)理事長の清水雅子さんは、「地域には困ったことが何かあるはず。住民同士助け合えばよいと始めた」と32年間の活動を振り返った。高齢者や障害者への支援に加え、「例えば産後のお世話を受けた人が、その後担い手に回るということも多い」と活動の循環を説明した。

 たすけあいゆい(南区)は、高齢者らに有償でサービスを提供する活動から始まり、社会福祉法人を取得。現在は母子生活支援施設などの事業を展開し、シングルマザーが自立するための講座も開いた。理事長の浜田静江さんは「いろいろままならないお母さんをどう社会に出すか。『あなたが必要』という環境が目の前にあれば、人は踏ん張れる」と語った。

 NPO法人いこいの家夢みん(戸塚区)副理事長の松本和子さんは、約40年前にドリームハイツに入居し、団地で住民主体の活動を行ってきた。幼児の保育活動から始まり、現在は高齢者支援に重点を置く。「自分たちが地域を大切にし、力を合わせる。それが住民自治の原点」とした。

 西区第4地区社会福祉協議会会長の米岡美智枝さんは、防災のまちづくりや高齢者の見守りなど、さまざまな活動に携わってきた。学校の夏休み中などに開く「みんなの食堂」には、幅広い年代層が集まる。「みんなで楽しく食べたことを大人になったら思い出してほしい」と話した。

 NPO法人有為グループ(港南区)初代理事長の山尾宏子さんは、住民同士が有償で家事や簡単な介護などをする活動や、ちょっとした困り事をご近所でワンコインで請け負うボランティアグループ「茶卓」などに関わってきた。「いろいろなところでいろいろな人が必要。年を取っても障害があっても、役に立つことはできる」と力を込めた。

 講演には、本をまとめた静岡福祉大学教授の西尾敦史さんも参加。「生活の困り事をどうするかから出発し、同じ思いの人と出会う。地域は一人一人が主役。互いの経験から学ぶことが地域福祉の神髄」と話した。

 本の問い合わせは、ミネルヴァ書房東京電話03(3296)1615。

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