角中、又吉に続けるか 支配下枠指名は最多6人、独立Lから夢に挑む選手たち

西武に3位で指名された四国アイランドリーグplusの徳島インディゴソックス・伊藤翔【写真:篠崎有理枝】

徳島・伊藤翔は西武3位、2013年又吉に次ぐ上位指名

 10月26日のドラフトでは、独立リーグから9人の選手がNPB球団に指名された。このうち3人は、育成枠での指名だったが、6人は支配下枠での指名。これは、独立リーグ史上最多だった。

 独立リーグの現場では、フロントや指導者から「育成枠では与えられるチャンスが少ない、“本指名”を目指さないと」という声が聞かれる。育成選手と、支配下選手では、契約金や年俸だけでなく、試合の出場機会も、指導者の注目度も大きく異なる。それだけに6人の“本指名”は、独立リーグの評価がさらに高まったということができそうだ。

 今季の6人も含めた、独立リーグの支配下枠で指名された選手を見ていこう。四国アイランドリーグplusでは今年も含め18人が支配下枠で指名されている。※は現役。

2006年
角中勝也(高知) ロッテ 大学・社会人7位※
深沢和帆(香川) 巨人 大学・社会人5位

2007年
三輪正義(香川) ヤクルト 大学・社会人6位※

2008年
西川雅人(愛媛) オリックス5位
金無英(福岡) ソフトバンク6位

2009年
福田岳洋(香川)横浜5位
荒張裕司(徳島)日本ハム6位

2010年
大原淳也(香川) 横浜7位
弦本悠希(徳島) 広島7位
鶴岡賢二郎(愛媛) 横浜8位

2012年
星野雄大(香川) ヤクルト5位※

2013年
又吉克樹(香川) 中日2位※

2014年
寺田哲也(香川)ヤクルト4位
入野貴大(徳島)楽天5位※
山本雅士(徳島) 中日8位※

2015年
松本直晃(香川) 西武10位※

2016年
福永春吾(徳島)阪神6位※

2017年
伊藤翔(徳島) 西武3位

独立リーグから躍進した角中、又吉

 独立リーグで支配下枠で指名を受けた最初の選手は、高知の角中勝也。ロッテで2度の首位打者に輝き、今やパ・リーグを代表する打者となった。彼の活躍が、その後の独立リーグの可能性を切り拓いたと言えるだろう。2007年のヤクルト・三輪もユーティリティとして今も活躍している。2013年の又吉克樹は、過去最高位のドラフト2位で香川から中日に入団。今や彼もリリーフエースと言ってよい存在だ。

 今年、徳島から西武に指名された伊藤翔は又吉の2位に次ぐ、ドラフト3位。高い評価を得ている。

 一方で、2014年ドラフト4位で徳島から楽天に入団した入野は、先日早くも戦力外となった。育成枠での再契約ともいわれているが、入野は入団時26歳。独立リーグからNPB入りする選手は、年齢が高いことも多く、与えられるチャンスは限られている。

 ルートインBCリーグからは、今年も含めて7人が支配下枠で指名されている。

2009年
前田祐二(福井) オリックス4位

2012年
森本将太(福井) オリックス5位

2013年
柴田健斗(信濃) オリックス7位

2017年
寺田光輝(石川) DeNA6位
寺岡寛治(石川) 楽天7位
沼田拓巳(石川) ヤクルト8位
山本祐大(滋賀) DeNA9位

BCリーグからは4選手が“本指名”

 過去の3人はすべてオリックスからの指名。全員、NPBの舞台を去っている。今季は一挙に4人が指名された。ルートインBCリーグの評価が高まっていることがうかがえる。このなかで、何人が実績を残すことができるだろうか。

 日本独立リーグ野球機構には加盟していないが、BASEBALL FIRST LEAGUEからも、今季、支配下枠での指名があった。

2017年
田中耀飛(兵庫) 楽天5位

 BASEBALL FIRST LEAGUEからの指名は昨年、巨人から育成枠で指名された山川和大、同じく楽天から育成枠で指名された向谷拓巳に続いて3人目。2017年は3球団で運営されたが、3人はすべて兵庫からの指名だった。

 消滅した関西独立リーグからも1名が支配下枠で指名されている。

2010年
深江真登(明石) オリックス5位

 四国アイランドリーグがスタートして13年目。独立リーグは、NPBへの人材供給源としてすっかり定着した。しかしそれでもNPBでの一流選手への道は、極めて厳しい。成功したのはほんの一握りの選手だ。彼らの活躍が、独立リーグの未来を拓く。新入団選手の来季の活躍に期待したい。

(Full-Count編集部)

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