フジクラ、電線関連分野で新事業=余寿命診断サービス検討

 フジクラの伊藤雅彦社長はこのほど都内で開かれた決算会見で、新規事業の創出策や戦略顧客の深耕策などについて説明した。新規事業では電線関連の分野で老朽化した電線の余寿命を診断するサービスを中小企業向けなどに展開したいと言及。電子関連では医療機器向けの高密度・超小型の部品内蔵電子基板に期待を示した。戦略顧客の深耕では注力商品の超高密度光ケーブルで、大型データセンター向けの需要を捕捉したいとした。

 電線の余寿命診断サービスは既存需要を掘り起こすための新たな手法。フジクラグループでは診断に使用する機器を商品として有しており、その技術を活用する。電線の情報を遠隔地からデータで取り込み、張り替えの時期などを知らせる形で検討している。伊藤社長は「18年度には新たなサービスを離陸させたい」としている。

 高密度・超小型の部品内蔵電子基板では補聴器向けなどのビジネスに期待。これまで培ってきた技術を生かして、小型・薄型化が求められる医療やヘルスケアの市場に供給したい考えで「ようやく実採用が見えてきた段階」と話した。

 また戦略顧客の深耕では、構造を抜本的に見直した超高密度光ケーブルに注力。細径で軽量な製品を高いコスト競争力で供給できる強みを生かし、限られた配線スペースでさらなるデータ帯域を確保するデータセンター向けの需要に応える。併せて約7千本の光ファイバを配した超多芯タイプの開発を進めるとした。

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