〔霧島山(新燃岳)〕大きな噴石への警戒範囲を火口から概ね2kmに縮小(10/31)

10月11日05:34頃に発生した宮崎・鹿児島県境の霧島山・新燃岳の噴火は10月17日未明にかけて断続的に続き、広い範囲で降灰が観測されました。また、15日に行われた現地調査で、二酸化硫黄などの火山ガスの放出量が1日あたり11000トンに急増し、火山性微動の振幅も大きくなるなど活発な火山活動が続きました。
その後、噴火は17日00:30頃を最後に観測されておらず、傾斜変動は16日以降変化が認められなくなりました。火山性微動も21日までは発生していたものの、その後は観測されていません。
こうしたことから、福岡管区気象台と鹿児島地方気象台は、31日14:00、霧島山(新燃岳)に対して火口周辺警報を発表し、噴火警戒レベルはレベル3(入山規制)を継続としたまま、大きな噴石に警戒する範囲をこれまでの火口から概ね3kmから概ね2kmに、火砕流に警戒する範囲を火口から概ね1kmに、それぞれ縮小しました。
なお、地下のマグマなどの活動を示すと考えられる低周波地震は引き続き発生するなど、今後も火口周辺へ影響を及ぼすような噴火の可能性があるため、気象台では今後の火山活動の推移に注意するよう呼びかけています。

■防災上の注意点
【火口周辺での警戒が必要な市町村】
・宮崎県 :小林市
・鹿児島県:霧島市

【警戒・注意事項】
・警戒:(火口から概ね2kmまで)弾道を描いて飛散する大きな噴石/(火口から概ね1kmまで)火砕流
・注意:(風下側)火山灰、小さな噴石(火山れき)、火山ガス/空振による窓ガラスの破損/降雨時の土石流

■霧島山(新燃岳)火山活動の経過
<2017年>
・ 5月26日14:00 レベル1(活火山であることに留意)引下げ。
・ 7月頃から 霧島山の深い場所で膨張する傾向が認められるように。
・ 9月23日から 火山性地震が日に10回以上観測されるなど次第に増加。
・10月 4日 現地調査で西側斜面の割れ目付近及び割れ目の下方で引き続き噴気と弱い熱異常域を確認。火山性地震は日に39回に増加。
・10月 5日23:35 レベル2(火口周辺規制)に引上げ。
・10月 6日 1日の火山性地震の回数が163回に達する。
・10月 9日15:12 火山性微動に伴う傾斜変動を観測。火山性微動は15:53まで観測された。
・   22:21 火山性微動が連続して発生。
・10月11日05:34 噴火発生。火口縁上300mまで噴煙上昇も、噴石飛散はなし。
・   11:05 レベル3(入山規制)に引上げ。
・10月15日19:00 火口周辺警報切替発表。噴火警戒レベル3は継続、噴石や火砕流の警戒範囲を火口から概ね3kmに拡大。
・10月17日00:30 この頃を最後に以降は噴火の発生なし。
・10月31日14:00 火口周辺警報切替発表。噴火警戒レベル3は継続、噴石の警戒範囲を火口から概ね2kmに、火砕流の警戒範囲を火口から概ね1kmに縮小。

◆用語解説「噴火警戒レベル」
・火山活動の状況に応じて警戒が必要な範囲や、とるべき防災対応を5段階に区分して発表する指標で、避難や規制の対象地域は、地域の状況や火山活動状況により異なる。
 レベル5(避難):危険な居住地域からの避難等が必要。
 レベル4(避難準備):警戒が必要な居住地域での避難の準備、災害時要援護者の避難等が必要。
●レベル3(入山規制)●:登山禁止や入山規制等危険な地域への立入規制等。状況に応じて災害時要援護者の避難準備等。●現在の新燃岳の噴火警戒レベル●
 レベル2(火口周辺規制):火口周辺への立入規制等。
 レベル1(活火山であることに留意):状況に応じて火口内への立入規制等。

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