横須賀の空き家で味わう「おかみさんレシピ」

 大学生が空き家を改修して整備した横須賀市追浜南町の地域交流拠点で31日、「おかみさんキッチンin空き家おっぱまのま」と題した交流イベントが開かれた。地元住民のほか、企業や行政関係者ら約50人が参加。神奈川新聞での連載をまとめたレシピ集「横須賀佐島 魚行商のおかみさんレシピ」の執筆者・福本育代さん(73)自らが台所に立ち、横須賀で水揚げされた新鮮な魚介類を使った料理を振る舞った。

 イベントが開かれたのは、京急線追浜駅から徒歩5分の谷戸地域にある木造住宅で、その名も「おっぱまのま」。関東学院大学(横浜市金沢区)の学生が築70年ほどと老朽化が進む空き家を1年半かけて改修し、地域の交流拠点として整備している。

 レシピ集は100回の本紙連載記事をまとめた。福本さんは佐島に唯一残る魚の行商で、レシピ集掲載の「タチウオのピザ風」や「タコめし」、「キハダマグロのカルパッチョ」など5品を提供。管理栄養士を目指す同大の学生7人も「ほうれん草と豆腐の白あえ」や豆乳を使ったカボチャスープなど4品を作った。

 参加した近くに住む田村寛子さん(60)は「地元の魚を使った料理でおいしかった。この交流拠点にもまた来たい」と笑顔。福本さんも「皆さんがおいしいと言ってくれてうれしかった。今後は世界中に魚のおいしさを広めたい」と話した。

 イベントには横須賀市の上地克明市長や、かながわ信用金庫の平松廣司理事長、京急電鉄の原田一之社長らも参加。改修を手掛けたプロジェクトの代表で同大3年の小池悠介さん(20)は「今後も定期的にイベントを開き、空き家問題について知ってほしい」と話した。

 住宅の脇には葉山町在住の松本信夫さんが開発した生ごみ処理器「キエーロ」も設置された。箱の中の土に生ごみを埋めると微生物の働きで処理される仕組みで、この日も魚をさばいた後に出た骨などを入れ、生ごみの減量・資源化につなげた。

© 株式会社神奈川新聞社