大山観光、ロボが支援 伊勢原で実証実験

 長野県の信州大学で開発中の歩行支援ロボットの実証実験が1日、急な階段が続く伊勢原市大山のこま参道で行われた。足腰の弱い高齢者に楽に登って観光してもらいたいと、「さがみロボット産業特区」を進める神奈川県と市が実験を誘致した。足腰にロボットを装着した高齢者2人が参道を登った。

 ロボットは信大繊維学部の教授(64)が開発中の「クララ」。小型のモーター4台を備えた重さ約5キロのパーツを太ももや腰などに装着する。歩行中はモーターが作動し、負担を少なくする。もともと、脳卒中などで倒れた患者のリハビリ用に10年ほど前から開発が始まった。

 大山のケーブルカー駅につながるこま参道は全長約650メートルで、両脇に旅館や土産物店が立ち並ぶ。高低差は86メートル、途中の階段は362段もあり、成人男性も息が上がるほど。観光客増加を目指す市は高齢者向けに手すりを設置するなど対策を取ってきたが、同時に高齢者や足が不自由な人も気軽に登れる手段を探していた。

 8月の実証実験では、同大の学生が身に着けて参道を登ると、「身に着けない場合に比べ、心拍数が20〜30%少なくなった」(同教授)という。1日に体験した平塚市の住民(74)は「ロボットの重さは気になったが、慣れると楽に登れるようになった」と話した。

 教授は「耐久性などが課題。2019年の市販を目指したい」と話している。

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