金属行人(11月2日付)

 先月初めて訪れたスウェーデンでは多くの発見があった。新日鉄住金グループで世界最大の弁ばね線メーカーであるスズキ・ガルピッタンを訪問した。旧新日鉄による海外M&Aの初案件で以前から興味を持っていたが、既存事業と買収先とのシナジーが発揮され、M&Aのモデルケースとなっていることを実感した▼それ以外にも欧州における経済動向、新聞などメディア媒体の動向、鉄鋼業界の動きなど、いくつかのテーマがあり、得るものが大きかった。友人の大学教授が財政問題を研究しており、北欧福祉国家の財政構造の話は以前から耳にしていたが、人口1千万人という規模だから成り立つ面もあるのかと感じた▼クレジットカード払いが、あまりにも普及しているのに驚いたことも発見の一つ。現金を受け付けない店も少なくない。「現金払いは次の人を待たせるから行列もできるし、払う方・受け取る方の双方にとって盗難リスクがあって好まれない」という。移民がいて、すりなど盗難が多いことに起因するのかもしれないが、思いもよらない視点だった。ちなみに日本の消費支出に占めるカード払いの割合は17%で、米国41%、中国55%、韓国73%など他の先進国比で圧倒的に低い。

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