【日本S】左腕アレルギーの鷹打線、苦戦する投手の共通点は?

ソフトバンク・今宮健太【写真:藤浦一都】

王手のホークス“左腕アレルギー”払拭できるか

 パ・リーグ王者のソフトバンクと、セ・リーグ3位からクライマックスシリーズを勝ち上がってきたDeNAとの日本シリーズは2日、ソフトバンクの3勝1敗で第5戦を迎える。2日の第4戦ではDeNAのルーキー左腕・濱口遥大投手が8回途中までソフトバンク打線をノーヒットに抑える好投を見せ、DeNAが快勝。ようやく初勝利を挙げ、ホークスに一矢を報いる形となった。

 王手をかけていたソフトバンクにとっては、またしても左投手にやられる形となった。クライマックスシリーズ・ファイナルステージでは、楽天の塩見貴洋、辛島航という左腕2人に封じ込まれて、初戦、2戦目とまさかの連敗スタート。その後、則本昂大、岸孝之、美馬学という右投手3人を返り討ちにしての3連勝を飾った。日本シリーズ第2戦でもDeNA先発の今永昇太からは1点しか奪えず、苦戦を強いられていた。

 それぞれの投手の、その時の投球成績は以下のようになっている。

塩見貴洋 6回 4安打1本塁打6三振0四死球1失点
辛島航  5回1/3 4安打1本塁打6三振1四死球1失点
今永昇太 6回 5安打0本塁打10三振2四死球1失点
濱口遥大 7回2/3 2安打0本塁打7三振3四死球0失点

 ポストシーズンでは左腕と対戦しているが、塩見、辛島、今永からは1点ずつしか奪えていない。濱口からは無得点と“左腕アレルギー”を発症している。

 ただ、シーズンの成績を見てみると、ソフトバンク打線は決して左投手を苦手としているわけではない。1日の第4戦にスタメン出場した面々の、今季の対左投手の成績はこうだ。

鍵となる「左腕対鷹打線」

柳田 106打数36安打9本塁打、打率.340
今宮 110打数39安打7本塁打、打率.355
デスパイネ 91打数27安打9本塁打、打率.297
内川 46打数12安打3本塁打、打率.261
中村晃 118打数31安打1本塁打、打率.263
松田 98打数27安打5本塁打、打率.276
川島 74打数22安打5本塁打、打率.297
高谷 47打数9安打0本塁打、打率.191

 右投手に比べ、左投手で成績が下がるのは内川、中村晃、高谷の3人。今宮は打率3割5分を超えており、左打者の柳田も、実は左投手の方が数字は良くなっている。では、なぜソフトバンクがこのポストシーズンで左腕に苦戦しているのか。

 今季戦ったペナントレース143試合のうち、相手の先発投手が左投手だったのは29試合。パ・リーグは各球団、右投手に好投手が多く、ローテの中心を担っている。左腕でチームの中心にいるといえば、西武・菊池雄星投手くらい。その菊池は、ソフトバンクに滅法、相性が悪いのは、よく知られているところである。左の好投手との対戦が少ないことも無関係ではないはず。

 そして、このポストシーズンで苦戦している4投手に共通して言えたのは、カーブやチェンジアップといった変化球で緩急を使いこなしていた点。しかも、真っ直ぐでも、変化球でも、しっかりと腕を振り、慎重になり過ぎることなく、思い切ってソフトバンク打線に立ち向かっていた。

 ソフトバンクが3勝1敗で迎える2日の第5戦。DeNAの先発は、再び左投手の石田健大が予想されている。カーブ、フォーク、チェンジアップなどを操る左腕が、今永や濱口同様にソフトバンク打線を封じるのか。はたまた、ホークス打線が“アレルギー”を払拭するのか。「左腕対鷹打線」が鍵を握りそうだ。

(Full-Count編集部)

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