LGBT理解を 川崎で企業向けセミナー

 性的少数者(LGBT)への理解を広げる取り組みを、神奈川県川崎市が進めている。1日には企業関係者らを対象にセミナーを初開催。参加者は基本的な知識や職場での実践例、実際に直面している課題を当事者の声から学んだ。

 「同性を好きになるのは本人の自由だと思うか」。川崎区内のビルで行われたセミナーには約50人が参加。会場で投げ掛けられた質問に、多くの人が「はい」の方に手を挙げる。

 NPO法人「共生社会をつくるセクシュアル・マイノリティ支援全国ネットワーク」の代表理事で、講師を務めた原ミナ汰さん(61)が解説する。「実は難しい質問で、自由ではあるが、どの性別を好きになるかは変更しづらい要素の一つ。本人に圧力をかければ変えられるというものではない」 当事者でもある原さんがLGBTの特徴を分かりやすく説く。「周りに必ず当事者がいるという前提が必要」とし、「まだ職場で表明している人がいないなら、受け入れ環境を整備するチャンス。当事者も安心し、打ち明けるかどうか選べる」と促した。男性の育児休暇取得が進まない例も挙げ、「いい制度があっても、取得することで嫌な顔をされれば使われない。性的指向や性自認を理由にした嫌がらせをなくすことが大切」と強調した。

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