鶴巻温泉駅と大山結ぶ路線バス 秦野市が実証実験

 秦野市は今月から、小田急線鶴巻温泉駅と伊勢原市の大山を結ぶ路線バスの実証実験を始めた。同駅を年間約96万人が訪れる観光地・大山のもう一つの玄関口として育てたい考え。乗客数などのデータを解析し、「2019年度の本格運行を目指す」と意気込んでいる。

 現在は、公共交通機関で大山に向かう観光客は小田急線伊勢原駅からバスに乗るのが大半。一方で、鶴巻温泉駅近くにある秦野市営日帰り温泉施設「弘法の里湯」の利用者のうち、「2、3割は大山の登山客。下山後に伊勢原駅から小田急線に乗って来ている」と同市。

 このため、「大山から来てもらうだけでなく、駅から大山に向かう観光ルートも開拓し、大山に新たな観光客を送り込みたい」などと鶴巻温泉駅周辺の商業関係者がバス路線の開設を要望していた。

 実証実験は3日に開始し、来年2月4日まで。土日・祝日のみ(年末年始は運休)の運行で、同駅北口〜大山ケーブルの約8キロを約30分で結ぶ。1日に上下計10便で、料金は大人310円(ICカード利用時は309円)。

 予算は半額が国の交付金で計2500万円。18年度はバスの運行は行わず、乗客数や乗客の多い時間帯の分析やバス会社との協議を行い、19年度の本格運行につなげる計画だ。

 初日の3日は同駅北口のバス乗り場に地元の子どもたちが集まり、お囃子(はやし)の太鼓をたたいて、出発を見送った。駅周辺商店街でつくる連絡協議会の会長(52)は「新たな大山の玄関口として、鶴巻温泉の知名度を向上させたい」とアピールしている。

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