「一度そのバッティングは捨てなきゃと」鷹・内川が語った同点弾と古巣対決

ソフトバンク・内川聖一【写真:藤浦一都】

日本一貢献の内川、サファテの魂の3イニングに「気持ちに応えなきゃ」

 4日、ソフトバンクの内川聖一が9回裏の土壇場でチームを救った。起死回生の同点弾。大仕事を成し遂げたキャプテンは、日本シリーズ優勝の会見で改めてチームメートへの感謝の気持ちや土壇場の同点弾や古巣DeNAへの思いを語った。

 工藤公康監督、MVPのサファテとともに壇上に上がった内川は、クライマックスシリーズ・ファイナルステージ優勝の時と同様に、まずはチームメートに対する感謝の気持ちを口にした。

「個人的には怪我でチームに入れない期間が長かったので、CSから日本シリーズというのはチーム全員が日本一になれるチャンスをくれたと思っていましたし、それを何とか結果で恩返ししたいと思っていました。結果的に気持ちと結果が伴ってくれてよかったと思います」

 CSでは4試合連続弾を放つ活躍でMVPを獲得。日本シリーズの第5戦まではCSほど派手な活躍こそなかったものの、最後の最後に4番の意地を見せつけた。「どうにかしなきゃいけないと思っていました」という内川が9回1死から放ったのは、DeNAの守護神、山崎康晃からレフトへの同点弾だ。

CSの打撃は「正直できすぎ」「一度捨てなきゃいけないと」

「CSの時は正直できすぎだと思っていましたし、一度そのバッティングは捨てなきゃいけないという思いで日本シリーズに入って、一番いいところで1本出てくれたなと思います。やっぱりみんなで何とかしようという気持ちが最終的にボクのバットに乗り移ってくれたんじゃないかなと思います」

 自らのバットで同点に追いつき、試合は延長戦へ。9回からマウンドに上がったサファテが志願して自身初の3イニングを投げ、DeNA打線を封じ込んでくれた。延長11回裏の攻撃に入る前、内川はベンチ前にできた円陣で選手たちに声をかけた。

「あそこまでやって負けたら損だなという気持ちがありましたし、デニスが3イニングいっていたので、明日のことは考えたくなかったというか、デニスがここまで頑張ってくれたのなら、それよりも強い気持ちでデニスの気持ちに応えなきゃいけないと思って『野手で頑張って何とか1点取ろう』という話をしました」

 円陣を組んだ後、1死から内川自身が四球を選び、続く中村晃も四球でチャンスを広げた。代走を出されてベンチに戻っていた内川は、川島慶三の一打で中村がホームインすると一目散にベンチを飛び出して、ヒーローの川島のもとへ駆け寄った。

DeNAの投手陣に脱帽「やられてばかりだったという印象」

 今回のシリーズは、内川にとって古巣対決となったが、開幕前はあえてそのことについて深く語ることはしなかった。実際に戦いを終えて、内川自身が感じることはあったようだ。

「ボク自身が横浜にいた頃は、日本一になるという意味をファンのみなさんに持ってもらうような機会もなかったので、そういうところまで押し上げてくれたベイスターズの選手のみなさんに感謝しないといけないなと思います」という言葉には、内川の古巣への気持ちがにじみ出ていた。さらに内川はこう続けた。

「開幕前に古巣、古巣と言われましたが、ボクらは勝たないと日本一になれないので、そういう気持ちは終わってから考えればいいと思っていました。終わってみればみんなそれぞれが『俺はこうするんだ』という気持ちをもってやっていたチームだと感じました。試合には勝ちましたが、出てくるピッチャーのみなさんにはやられてばかりだったという印象の方が強いので、本当に苦しかったなと思います」

 会見で「去年優勝できなかった時点から、この日を目指してやってきました」と語った内川は、最後に「ここぞという勝負の円陣に監督が入ってくれたというのはすごくありがたかったです」と、キャプテンらしく指揮官への感謝の言葉を贈った。

(Full-Count編集部)

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