「核廃絶」誓い歌い続ける

 長崎原爆で下半身不随になり、車いすで核廃絶を訴えた渡辺千恵子さん(1928~93年)の半生を描き、恒久平和の願いを込めた組曲「平和の旅へ」の公演が4日、1985年の初演以来250回を迎えた。渡辺さんが眠る延命寺(長崎市寺町)で記念の合唱を披露し、メンバーらは「核廃絶の時まで歌い続ける」と改めて誓った。

 歌で語り部活動をしている長崎のうたごえ協議会(森川恵美子議長)が、今年7月の核兵器禁止条約の採択を記念し「渡辺さんの墓前に報告したい」と発案。「平和の旅へ」合唱団(小笠原一弘団長)に相談したところ、ちょうど公演250回の節目と重なった。

 県内外からメンバー45人が集結した。被爆前後の激動の様子、寝たきり生活の苦しみ、車いすを手に入れ、語り部活動へ使命を見いだし「平和の旅へ」と出ていく様子を、合唱と語りで構成した約30分の組曲で表現。これまで延べ15万人に披露してきたが、この日は渡辺さんの魂へと歌声を届けた。

 22年間団長を務める小笠原さんは「長崎原爆の恐ろしさを伝えていくのに、この歌こそが最大の武器」と決意新た。歌い終わると、感極まるメンバーもいた。同市大浦町の森田知美さん(41)は「高校生のころから参加し、250回という節目に歌えてよかった。被爆2世として歌い伝えていくのが自分の役目」と涙をぬぐった。

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