助っ人の出来でAクラス&Bクラスの明暗 2017年外国人選手査定、セ・リーグ編

エルドレッドの穴を埋めた広島・バティスタ【写真:荒川祐史】

メッセンジャー、マテオ、ドリスらが活躍した阪神

 2017年シーズンが終了した。今年もNPBでは多くの外国人選手がプレーした。球団別に、彼らの成績を査定していこう。ここではセ・リーグを見てみたい。

 打者は、通常の成績に加え、安打、長打、四死球、盗塁、犠打、犠飛を加味した打者の総合指標RC(Run Create)も加えた。RCはシーズンで100を超えればMVP級の活躍とされる。投手も通常の成績に加え投手の総合指標、PR(Pitching Run、リーグ平均防御率-投手の防御率)×投球回で算出)を紹介する。150を超えればエース級。

【広島】
〇打者
エルドレッド 116試344打数91安27本78点0盗 打率.265 RC 66.45
バティスタ 61試125打数32安11本26点0盗 打率.256 RC 22.99
ペーニャ 22試37打数8安0本2点0盗 打率.216 RC 2.15
メヒア 9試14打数3安0本1点0盗 打率.214 RC 0.78
〇投手
ジャクソン 60試2勝2敗1S30H 62回 防御率2.03 PR 101.68
ブレイシア 26試2勝1敗1S2H 30回 防御率3.00 PR 20.1
ジョンソン 13試6勝3敗0S0H 76.1回 防御率4.01 PR -25.95
ヘーゲンズ 11試0勝0敗0S0H 15回 防御率6.60 PR -43.95

 広島はエルドレッドが故障もあって十分に働かず。カープアカデミー出身の怪力バティスタがパワフルな打撃でその穴を埋めた。同じくカープアカデミー出身のメヒアは3安打のみ。昨年エース級の活躍をした左腕ジョンソンは故障で出遅れる。セットアッパーのジャクソンは昨年同様安定感があった。

【阪神】
〇打者
ロジャース 40試123打数31安5本23点0盗 打率.252 RC 16.4
キャンベル 21試47打数9安1本5点0盗 打率.191 RC 3.79
〇投手
メッセンジャー 22試11勝5敗0S0H 143回 防御率2.39 PR 183.04
ドリス 63試4勝4敗37S5H 63回 防御率2.71 PR 60.48
マテオ 63試7勝4敗0S36H 59回 防御率2.75 PR 54.28
メンデス 8試0勝0敗0S1H 9.2回 防御率6.52 PR -27.54981
メンドーサ 4試0勝2敗0S0H 21回 防御率5.14 PR -30.87

 新外国人キャンベルはパワー不足で早々に2軍落ち。夏にロジャースを補強するも数字は残せず。外国人打者の期待外れが、今季の阪神打線の弱体化の大きな原因になった。一方で投手陣は、先発のメッセンジャー、セットアッパーのマテオ、クローザーのドリスと、12球団一と言ってよい充実ぶり。2位躍進の原動力になる。メンドーサは日本ハムを退団後、負傷離脱したメッセンジャーの穴を埋めるために獲得したが、勝ち星なし。

ロペスの活躍が際立ったDeNA

【DeNA】
〇打者
ロペス 142試569打数171安30本105点0盗 打率.301 RC 95.35
ウィーランド 21試48打数11安3本12点0盗 打率.229 RC 6.58
エリアン 25試56打数14安1本1点0盗 打率.250 RC 5.45
シリアコ 12試27打数2安0本0点0盗 打率.074 RC-0.98
〇投手
ウィーランド 21試10勝2敗0S0H 133回 防御率2.98 PR 91.77
パットン 62試4勝3敗7S27H 60回 防御率2.70 PR 58.2
エスコバー 27試1勝3敗2S7H 34回 防御率3.44 PR 7.82
クライン 7試2勝3敗0S0H 36回 防御率4.75 PR -38.88

 ロペスは最多安打と打点王。筒香、宮崎と組んだ中軸は強力。一塁守備も優秀だった。打者であえて投手のウィーランドを載せた。ウィーランドは3本塁打。打撃でも控えの野手並みに貢献した。ラミレス監督の「8番投手」はウィーランドがいなければ考えられなかった。投手では先発のウィーランド、救援のパットンがまずまずの働き。ウィーランドは後半に調子が上がった。日本ハムから獲得したエスコバーは枚数不足の中継ぎ陣の良い補強になった。

【巨人】
〇打者
マギー 139試523打数165安18本77点4盗 打率.315 RC 96.28
クルーズ 9試32打数5安0本3点0盗 打率.156 RC -0.16
〇投手
マイコラス 27試14勝8敗0S0H 188回 防御率2.25 PR 266.95
マシソン 59試4勝4敗2S27H 68.1回 防御率2.24 PR 97.72
カミネロ 57試3勝5敗29S4H 63.1回 防御率2.42 PR 79.17

 マギーは首位打者もうかがう活躍をしたが、村田修一とポジションが被り、終盤にはなれない二塁を守ることとなった。クルーズはシーズン中に退団し楽天に。ヤンキースで4番を打ったこともあるギャレットは2軍暮らしで終わった。マイコラスは菅野とともにWエースの活躍。マシソンは今年もセットアッパーとして活躍したが、DeNAと競り合った後半になって調子を落とした。カミネロはクローザーとして29セーブを挙げた。

中日、ヤクルトは…

【中日】
〇打者
ゲレーロ 130試469打数131安35本86点1盗 打率.279 RC 83.44
ビシエド 87試332打数83安18本49点4盗 打率.250 RC 46.93
〇投手
ジョーダン 18試6勝4敗0S0H 74.1回 防御率2.30 PR 101.84
ロンドン 4試0勝0敗0S0H 4.2回 防御率5.79 PR -9.89
バルデス 23試6勝9敗0S0H 146回 防御率3.76 PR -13.14
アラウホ 6試1勝0敗0S0H 8.1回 防御率6.48 PR -23.42

 ゲレーロは本塁打王に。他球団への移籍の可能性も浮上している。2年目のビシエドは米市民権の取得手続きで1か月戦線離脱。成績も今一つだった。ジョーダンは投げた試合では好投したが、シーズン通して活躍することはできず。間もなく40歳になるバルデスは前半戦は好投したが、スタミナが続かなかった。

【ヤクルト】
〇打者
バレンティン 125試445打数113安32本80点0盗 打率.254 RC 76.7
リベロ 54試200打数43安6本21点0盗 打率.215 RC15.07
グリーン 25試72打数14安2本8点0盗 打率.194 RC5.94
〇投手
ルーキ 61試4勝6敗7S22H 60.2回 防御率2.97 PR 42.47
ギルメット 28試1勝1敗0S2H 54.2回 防御率3.62 PR 2.73
ブキャナン 25試6勝13敗0S0H 159.2回 防御率3.66 PR 1.6
オーレンドルフ 4試0勝1敗0S0H 18回 防御率5.50 PR -32.94

 バレンティンは不振のヤクルト打線にあって中軸の働きをした。2015年のヤクルト優勝時には外国人投手を中心とした「勝利の方程式」ができていたが、今季はルーキがセットアッパーとして活躍したものの枚数が足りなかった。先発ではブキャナンが大きく負け越しながらも規定投球回数に到達。

 こうしてみるとセ・パ両リーグともに外国人選手が活躍したチームがポストシーズンに進出している。来年も「助っ人」がペナントレースの大きなカギになるのは間違いないだろう。

(Full-Count編集部)

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