金属行人(11月7日付)

 この業界にいると、一度リタイアした人が他の会社に嘱託などで再雇用されている機会に出くわすことが多い。過去の商売関係や以前勤めていた会社への〝仁義〟は必要なのだろうが、人材の育成、教育に苦労している中小企業にとっては非常に有効な雇用だと思う▼現在、採用は売り手市場が続いている様子。メーカーや特約店も優秀な人材の確保に頭を悩ましている。先日訪れた某メーカーでは「技術スタッフの新規募集に10人を超える応募があったけど、ほぼ全滅だった」とか。近ごろでは「エントリーだけで連絡が全くつかない人、面接日を決めても当日連絡なしに来なかった人」など、採用を検討する段階までいかないケースも珍しくないようだ▼海外からの研修制度を利用している企業もある。若い現場スタッフの確保などで一定の成果を上げているところも多いが、言葉の問題や研修期間終了後に帰国する必要があるため継続雇用の維持に苦労している話もよく聞く▼今後、建築需要の増加が期待される一方、現場監督者やとび職、トラックドライバーなどの人手不足を懸念する声は多い。いかに優秀な人材を確保、育成、継続雇用していくかは、もはや全産業共通の課題となりつつあるようだ。

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