【丸一鋼管の「社会貢献活動」】〈鈴木博之会長兼CEOに聞く〉現中計の「柱」として活動拡大 「大阪万博」誘致への協賛も

 丸一鋼管は、今17年度を最終年度とする中期経営計画(3カ年)で「社会貢献活動」を重要な柱として取り組んでいる。同社の社会貢献活動について、鈴木博之会長兼CEOに聞いた。(小林 利雄)

――現中期計画での社会貢献活動はどんなことを。

 「これまでいくつかの活動を実施してきたが、中期計画の中で『柱』を立てて実行するのは初めて。過去から実施してきたのは、奈良国立博物館で催される「正倉院展」への協賛活動などだったが、15年度から(1)特定非営利活動法人『アジア失明予防の会』支援(2)大阪フィルハーモニー協会への協賛(3)京都大学基金『iPS細胞研究基金』支援(4)劇団四季『こころの劇場』協賛―を実施」

丸一鋼管・鈴木会長兼CEO

 「今17年度からは(1)『2025日本万国博覧会誘致委員会(大阪万博)』への協賛(2)インドのバル・ニケタン高校の学生支援(3)関西観光本部の支援(4)おおさか・すいたハウスの移転支援―を加えて活動している」

――具体的には。

 「例えば『アジア失明予防の会』支援では、京都府立医科大出身の眼科医・服部匡志先生を中心にしたNPOで、月の半分をベトナムに駐在して貧しい患者さんを対象に無償で眼の治療を行っている。その活動に当社も心を動かされ支援している」

 「劇団四季『こころの劇場』への協賛は、同劇団の地方公演に対して、当社グループのある地方での公演に地元小学生を招待して観劇してもらっている。インドの高校の学生支援では、インド子会社のKUMA社がラジャスタン州ピラニ地区のバル・ニケタン高校で、成績や家庭の経済状況などに応じて学校が推薦した生徒200人に年間授業料相当額(純利益の2%程度)を奨学金として支給している」

――「おおさか・すいたハウス」の移転支援とは。

 「大阪・吹田市にある国立循環器研究センターに入院している小児患者のご家族が滞在する『すいたハウス』という施設がある。ボランティアと寄付で運営されているが、国立循環器研究センターが北大阪健康医療都市(健都)に移転することに伴いハウスも移転を迫られている。この移転を円滑にできるよう支援している」

――「大阪万博」誘致では、会長ご自身が関西経済同友会代表幹事として「2025日本万国博覧会誘致委員会」の副会長に就任している。

 「『大阪万博』は、関西はもとより、2020年の東京オリンピック・パラリンピックの次のビッグ・イベントとして、日本全体の景気浮揚策の観点からも何としても開催させたいと考えている。それには企業としても応分の負担をしていかなくてはならず、当社もオフィシャルパートナーとしてスポンサー企業に登録させていただいた」

――株式市場で「ESG投資」(環境・社会性・企業統治)に優れた企業への投資が増えていると聞く。

 「そこまで意識していないが、企業として利益の社会還元をしていくことは大事だ。当社では単独業績での配当実施後の純利益の0・5%をCSR活動に拠出している」

――今後はどんな取り組みを。

 「例えば、大阪の文化・スポーツ振興に貢献するなど個別具体的に対象が特定でき、使途の透明性が高い活動に対して支援などをしていきたいと考えている」

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