「共感はギャップから」米若者向け人気メディア

趣味趣向が多様化した若者に共感されるコンテンツはどのように作られているのか。米国のミレニアル世代に親しまれているウェブメディア「Refinery29」は、ファッションやライフスタイル、政治・時事情報などを取り扱う。フェイスブックやインスタグラムなどのSNS経由で月間5億人が同サイトを訪れる。共感を生み出す秘けつは「ギャップ」にあった。(オルタナS編集長=池田 真隆)

10月10日、東京・六本木で『WIRED』日本版が主催したカンファレンス「WRD. IDNTTY.(ワイアードアイデンティティ)」に登壇したジョン・ブレッド氏

「メディアによってできたイメージと実際の社会では乖離が生まれていることがある。その差が共感を生み出す要因になる。編集者はこのギャップを見つけなければいけない」――。こう言い切るのは、Refinery29を立ち上げたジョン・ブレット氏だ。

同メディアでは2016年に「67%project」と題したあるキャンペーンを実施した。米国人女性の67%以上が服のサイズが14以上であるが、メディアでこのサイズの女性はほとんど報道されない。

ウエストが引き締まったモデルばかりが報道されていることに、現実との乖離を見出し、同サイトやSNSで14サイズ以上の女性たちを中心に取り上げて話題を集めた。

同メディアはこのほどコロンビア大学と連携して、「共感」を研究するラボを設立した。ブレッド氏はこの取り組みの責任者でもある。

ミレニアル世代に社会性のある情報を伝えるためには、「不安や怒り」を見出すことがカギの一つと述べた。「リーマンショックに端を発した就職氷河期や格差社会を生きる彼/彼女らは胸の内に社会に対する不満や怒りを抱えている。それらの感情の受け皿になって、解放させるべき」。

つまり、社会への怒りを受け止めるプラットフォーム的存在になることで、メディアからの一方的なコミュニケーションで終わらず、読者どうしがSNSでその問題に対して議論し合い、社会を変えていくことになるという。

しかし、一定の経済成長を遂げた国では、社会問題が複雑化し、多くの人が抱える共通の課題は見つけづらい。そのような国では、「(社会問題が解決した社会の)ビジョンを提示していくべき」とした。

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