セ・リーグMVP争いを大胆予想、投打ともに混戦模様も、本命は広島・丸か

リーグ優勝の原動力となった広島・丸佳浩【写真:荒川祐史】

打者は傑出した選手が存在せずも、総合力では…

 今季も全日程が終了。11月20日には「NPB AWARDS」が開催され、各賞の発表が行われる。セ・リーグは広島が2年連続リーグ優勝を果たしたが、3位のDeNAがクライマックスシリーズで「下剋上」を演じ、日本シリーズに進出した。しかし、MVPは広島から選ばれると考えるのが普通だろう。セ・リーグのMVPを予想しよう。

 打者は、通常の成績に加え、安打、長打、四死球、盗塁、犠打、犠飛を加味した打者の総合指標RC(Run Create)を考慮に入れた。RCはシーズンで100を超えればMVP級の活躍とされる。

1丸佳浩(広)143試556打171安23本92点13盗 打率.308 RC114.60
2筒香嘉智(De)139試503打143安28本94点1盗 打率.284 RC103.98
3田中広輔(広)143試565打164安8本60点35盗 打率.290 RC101.91
4マギー(巨)139試523打165安18本77点4盗 打率.315 RC96.28
5ロペス(De)142試569打171安30本105点0盗 打率.301 RC95.35
6鈴木誠也(広)115試437打131安26本90点16盗 打率.300 RC91.20
7坂本勇人(巨)142試539打157安15本61点14盗 打率.291 RC85.99
8山田哲人(ヤ)143試526打130安24本78点14盗 打率.247 RC85.82
9ゲレーロ(中)130試469打131安35本86点1盗 打率.279 RC83.44
10桑原将志(De)143試598打161安13本52点10盗 打率.269 RC80.78
11宮崎敏郎(De)128試480打155安15本62点0盗 打率.323 RC78.58

 首位打者はDeNAの宮崎敏郎、本塁打王は中日のゲレーロ、打点王はDeNAのロペス、最多安打は広島の丸佳浩とDeNAロペス、盗塁王は広島の田中広輔だった。

 打撃タイトルが各チームに割れたことでもわかるように、広島は傑出した選手が引っ張って優勝したのではなく、主力選手がそれぞれ好成績を上げて総合力で勝ったと言える。

 傑出した選手はいないが、RCでは丸がトップ。打率が高く、長打もあり、出塁率も高い。2位のDeNA筒香はチーム3位確定の原動力となったが、タイトルには縁がなかった。3位の広島・田中は盗塁王に加え、最高出塁率でも1位、丸と似たタイプの選手だ。

 広島の鈴木が負傷せず、フルシーズン活躍していれば、MVP本命になったことだろう。

 絶対的なMVP候補はいないが、トータルでは広島の丸ということではないか。

投手は巨人・菅野が一歩リードか…

 投手成績を見てみよう。投手も通常の成績に加え、投手の総合指標、PR(Pitching Run)=(リーグ平均防御率-投手の防御率)×投球回で算出、を紹介する。PRは150を超えればエース級と言われる

1菅野智之(巨)25試17勝5敗0S0H 187.1回 防1.59 PR389.65
2マイコラス(巨)27試14勝8敗0S0H 188回 防2.25 PR268.96
3メッセンジャー(神)22試11勝5敗0S0H 143回 防2.39 PR183.04
4又吉克樹(中)50試8勝3敗0S21H 110回 防2.13 PR169.40
5桑原謙太朗(神)67試4勝2敗0S39H 65.2回 防1.51 PR141.84
6薮田和樹(広)38試15勝3敗0S3H 129回 防2.58 PR140.61
7野村祐輔(広)25試9勝5敗0S0H 155.1回 防2.78 PR138.25
8山崎康晃(De)68試4勝2敗26S15H 65.2回 防1.64 PR133.3
9中崎翔太(広)59試4勝1敗10S25H 57.2回 防1.40 PR130.90
10田口麗斗(巨)26試13勝4敗0S0H 170.2回 防3.01 PR112.64
25ドリス(神)63試4勝4敗37S5H 63回 防2.71 PR60.48
27マテオ(神)63試7勝4敗0S36H 59回 防2.75 PR54.28

 最多勝、最優秀防御率は巨人の菅野、最多奪三振は巨人マイコラス、最高勝率は広島の大瀬良大地、最多セーブは阪神のドリス。最多ホールドは阪神の桑原謙太郎(ホールドポイントは阪神の桑原とマテオ)だった。

 PRを見ると、澤村賞を受賞した菅野が傑出していた。次いで、同じく巨人のマイコラス。この絶対的な先発2枚を擁しながら、巨人は3位にも入れなかった。戦力バランスが悪いのは明らかだ。

 優勝した広島では、薮田、野村がランクインしているが、先発投手としては平凡な数値か。クローザーの中崎も25セーブと物足りない。広島の投手陣ではMVP候補は見当たらない。

 投手では菅野がMVP最右翼ということになろう。ただ、シーズン4位のチームからMVPが選出されるか定かではない。

 以上を総合してみると、セのMVPは票が割れると思われるが、下記のような形で予想した。果たして、MVPは誰が掴むのだろうか。

本命 丸佳浩(広島)
対抗 菅野智之(巨人)
穴 田中広輔(広島)、筒香嘉智(DeNA)

(Full-Count編集部)

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