明電舎の電動車向けモータ・インバータ事業、20年度売上げ3倍に 電磁鋼板の使用拡大

 明電舎は、プラグインハイブリッド車(PHEV)や電気自動車(EV)といった電動車両向けモータ・インバータ事業の売上げを2020年度にも現状の3倍へ伸ばす。量産技術や小型化技術を生かし、すでに取引がある三菱自動車工業やルノー・日産自動車のほか、今後の需要急増が見込める中国市場での対応も検討する。

 三井田健副社長によると、量産に伴いこれらモータやインバータの単価がある程度下がることを織り込んだ上での目標という。モータやインバータはEVよりPHEVの方が多く使われることもあり、実際の需要は読みにくい面もあるが、売上げの増加分以上に無方向性電磁鋼板(NO)や巻線に使われる銅の使用は増えることになりそうだ。

 明電舎は1980年代から電動車用モータの開発に取り組み、三菱自工が06年に試作した初代「アイミーブ」にも採用された。現行のアイミーブでは初代より4割ほどモータを小型化。生産ラインでは自動化を進めるなど優位性があり「今の推計世界シェア8%を死守し、さらに10%を目指せるよう性能、量産技術を高めていく」(三井田副社長)。

 15年時点の世界の電動車両市場はPHEVで44万台、EVで12万台とされているが、今後20年で3千万台へ伸びるとの見方もある。明電舎は電動車用モータ・インバータの市場規模が35年には3兆円へ伸びると見ており「経営資源を積極投入し、変革期に臨む」(浜崎祐司社長)考え。

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