EUの役割、実情知って スペイン外交官が出張授業

 欧州連合(EU)の役割や実情に関する関心を高校生に深めてもらおうと、加盟国の日本駐在外交官による出張授業が9日、横浜市神奈川区の浅野高校で開かれた。駐日EU代表部による交流事業の一環。

 同校を訪問したのは、在日スペイン大使館のアルバロ・ガルシア・モレノ1等書記官。ブリュッセルやカイロなどを経て現在、在日大使館で領事を担当している。

 ガルシア書記官は、1年生を中心とした約270人に講義。域内に5億人の人口を抱え、使われる公用語は24に上るなど「『多様性のなかでの統合』がEUのモットー」と紹介した。

 EUの歴史を「第2次大戦後、軍事資源でもあった石炭と鉄鋼を、平和のために共同開発することから始まった」とも解説。今年7月に日本と大枠合意した経済連携協定(EPA)や、ソマリア沖の海賊対処での安全保障協力などにも触れ「EUは世界のためのものでもある」と話した。

 生徒との質疑も行われた。「(加盟国で対応に温度差のある)移民問題にどう対処しているか」との問いに、書記官は「移民の母国の問題解決は加盟国の共通政策になる」と答えていた。

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