食と心で貧困支え フードバンクの学習会

 個人や企業などから余剰な食糧を譲り受け、困窮している人に提供するフードバンクについて知る学習会が9日、川崎市多摩区の多摩市民館で開かれ、同区内に拠点を置く「フードバンクかわさき」の高橋実生(みお)代表が活動の特徴や課題などを説明し、貧困に対する偏見の払拭(ふっしょく)を訴えた。同区社会福祉協議会の主催。

 高橋代表はフードバンクかわさきが他のグループと違う点として、施設などの団体ではなく個人に配達していることを挙げた。理由について(1)交通費がない、歩けないなどの理由で外出できない人にも渡せる(2)家庭の状況が分かりやすくなる(3)直接顔を合わせて話すと関係性が(良い方向に)変化し、卒業(自立)や就労につながる−とした。単に食の支援ではなく、心を支える活動であることを強調した。

 課題として、運転や道案内などのボランティアや食糧保管場所の不足などを挙げ、市民や行政の協力が必要とした上で、「貧困についての偏見を捨てることが大切」と訴えた。

 後半は高橋代表と参加者が意見交換。会社員の吉田晋さん(43)は「活動に携わる人から直接話を聞けて参考になった。自分も地域で可能な支援に取り組みたい」と話していた。

 

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