新日鉄住金グループ、回転鋼管杭事業を再編 土木は新日鉄住金が管掌、建築は日鉄住金建材に

 新日鉄住金は9日、回転圧入鋼管杭「NSエコパイル」事業を新日鉄住金グループ内で再編すると発表した。従来は新日鉄住金エンジニアリングが担ってきたが、土木分野を中心とする大中径に関する事業を新日鉄住金、建築分野を中心とする中小径に関する事業を日鉄住金建材へ2018年4月1日付で移管する。他の基礎杭製品との一体運営による効率化および顧客サービス向上が狙い。

顧客サービス向上狙う

 新日鉄住金へ移管するのは大径(鋼管径609・6ミリ超)および土木分野向けの中径(同400~609・6ミリ)の「NSエコパイル」の製造・販売。製造は従来通り君津、八幡の各製鉄所と鹿島の日鉄住金大径鋼管で行う。土木を中心とする適用分野や大型土木プロジェクト主体の営業形態が、新日鉄住金の既存商品と効率化およびシナジー効果を発揮できると判断した。

 また、日鉄住金建材へ移管するのは小径(同400ミリ未満)および建築分野向け中径(同400~609・6ミリ)の製造・販売。製造は新日鉄住金エンジの委託加工先を引き継ぐ。短納期対応の在庫販売が中心で小ロットの多数の顧客に対応する事業形態となるため、日鉄住金建材の既存商品「コンビニパイル」との一体運営による効率化・シナジー効果が発揮できると判断した。

 事業規模は中大径、小中径いずれも数十億円規模で、各社への事業譲渡額や生産量は非公表。

 「NSエコパイル」は1996年に旧新日本製鉄(現新日鉄住金)のエンジニアリング事業本部が開発した工法がベース。06年にエンジニアリング事業を分社化した際に発足した旧新日鉄エンジニアリング(現新日鉄住金エンジニアリング)が引き継いだ。無廃土、低騒音、低振動で施工性にも優れた環境商品として多くの実績を積み重ねてきた。

 新日鉄住金エンジでは当初、杭施工も含めて行っていたが、工法の普及・一般化により現在は「NSエコパイル」の製品販売に特化していた。今後、新日鉄住金エンジなどの人事異動が行われる予定。また、事業移管時点で納入が完了していない注文については移管先が確実に引き継ぎ、責任を持って納入を完了させるという。

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