日本鉄鋼連盟や日本自動車工業会など製造業9団体は9日、来年度の税制改正に向けた共同要望をまとめた。安倍政権が掲げる「生産性革命」の実現には企業の競争力を高める大胆な政策措置が必要とし、法人実効税率の引き下げに加え、IoT(モノのインターネット化)関連投資税制の創設、償却資産に対する固定資産税の撤廃など4項目を重点要望項目として掲げた。
自民党は先の衆議院選挙の政権公約の中で、企業の設備投資や人材投資を促すため2020年までの3年間を生産性革命の「集中投資期間」と位置づけ、あらゆる政策措置を動員する方針を打ち出した。この政策を実現するために必要な税制について、鉄鋼連盟などは製造業の立場から要望をとりまとめた。
重点要望項目は、IoT、償却資産のほか、省エネ・再エネ投資促進税制の導入、事業再編を促す税制措置の計4項目。IoTについては、政府が成長戦略の柱に掲げる「ソサイエティ5・0」の実現には、IoTの普及などによる生産効率化が不可欠とし、関連投資を促す税制の創設を求めた。
一方、償却資産に対する固定資産税の撤廃は、鉄鋼連盟が毎年、掲げている要望項目。機械設備などに対し固定資産税をかけている国は珍しく、鉄鋼業の国際競争力を損なうとして、撤廃・見直しを求めてきた。製造業共通の課題となっていることから、共同要望に盛り込んだ。
四つの重点項目のほかに、法人税についても、米トランプ政権における引き下げの動きなどを踏まえ、国際競争力を維持するためには実効税率のさらなる引き下げや、課税ベースの見直しを求めた。