雨の日も大山観光を 伊勢原市、集客向けた取り組み開始へ

 古来、雨が多いことで知られ、別名「雨降山」とも呼ばれる伊勢原市の観光地・大山−。市は11日から、雨の日に観光客を呼び込むキャンペーンを始める。雨の日限定の特典や雨天でも楽しめるアトラクションなどを通じて、観光客を増やすだけでなく、雨の日は閉店してしまうような一部の観光関係者の意識改革も図りたい考えだ。

 「山の下で降っていなくても、上は雨が降っている」(市商工観光課の担当者)。大山は丹沢山地の東南部にあり、地形上、常に雲や霧を生じ、雨が降りやすい。もともと、大山のシンボル大山阿夫利(あふり)神社の「阿夫利」も雨降りが転じたものだ。

 しかし、「雨が降ると観光客は激減し、商売にはならない。繁忙期に備えて体を休めた方がいい」(土産物店主)。土産物屋や宿坊が立ち並ぶこま参道では、雨天には、店を開けなかったり、早く閉めてしまったりする店もある。

 市と県は現在、大山を箱根、鎌倉、横浜に続く県内第4の国際観光地に育てようと模索中。ただ、「外国人観光客が限られた日程から1日を割いて、大山に来てみても、店が開いていなければかわいそうだ」(関係者)。

 そこで、県の交付金1千万円をかけて、観光関係者の意識改革も兼ねた雨の日対策に踏み切ることになった。11日から始めるキャンペーンでは、雨天や雨の降りそうな日にはスタンプラリーを実施。台紙を手に参加22店舗で1回500円以上、飲食や買い物をすると「ドリンク1杯無料」「おかず1品サービス」などの特典が付く。こうした「雨の日限定サービス」は来年2月末まで行う。

 阿夫利神社下社には大山を題材とした浮世絵の多色刷りが体験できるコーナーと、雨の日でも晴天時の眺望が分かるように説明板を設置する。来年3月を目標にパラソルを付けたテーブルも整備する。

 また、今月11日午後2時から同3時半まで、雨の日ファッションショーを同神社下社で開き、大手アウトドアブランド「モンベル」の最新レインウェアを紹介する。

 市の担当者は「雨でも楽しめる大山、雨だからこそ大山に行こうと観光客に思ってもらえるように、大山レインツーリズムを発信したい」と話している。

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