島鉄、長崎自動車傘下へ

 官民ファンドの地域経済活性化支援機構(REVIC、東京)と長崎自動車(長崎市)などが、経営が低迷する島原鉄道(島原市)の再生支援に乗り出すことが10日、複数の関係者への取材で分かった。島鉄は長崎自動車の傘下に入り、人的・資金的な支援を受け、十八銀行(長崎市)や親和銀行(佐世保市)などは金融支援する見通しだ。経営基盤を強化し、島原半島の交流人口拡大や利便性の高いダイヤ編成などを図るとみられる。

 13日に長崎市で開く記者会見で詳細を発表する予定。

 島鉄は島原半島で鉄道や路線バス、フェリー事業などを展開し、住民の欠かせない足となっている。しかし1990年からの雲仙・普賢岳噴火災害や沿線人口の減少で事業環境は厳しさを増し、2008年には南線(島原市島原外港-南島原市加津佐)を廃止した。17年3月期の売上高18億2200万円に対し、経常損失は2億5700万円。国や県、沿線4市などの補助を受けても1300万円の純損失を出した。累積赤字は7億5千万円に上る。

 一方、島原半島にも構成資産がある「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」の世界文化遺産登録への期待や、開業を控える九州新幹線長崎ルートなどを巡り今後観光客の増加が見込まれ、交通結節点の諫早市と島原半島を結ぶ島鉄の役割は重要。こうした状況から、REVICは「継続すべき有用な経営資源があり、地域経済に資する再生ができる」と判断し支援を決めたもようだ。長崎自動車も路線バス運行などのノウハウを生かすとみられる。

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