ストレスのメカニズムを理解するためには、「ストレスとは何か?」「ストレスにはどんな意味があるのか?」という2つのポイントを押さえておく必要があります。
ストレスとは何か?
ストレスとは、外部から刺激を受けて体に起こる反応と、その原因となる刺激(ストレッサー)のことです。たとえば、ボールを指で押すと、へこみますよね。このへこみや、へこみを起こす力がストレスなのです。
へこんだボールは時間がたてば元に戻るように、私たちもストレスを受けて体調を崩しても、休めばたいてい健康な状態に回復します。これは、「ホメオスタシス」(生体恒常性)という、正常な状態に戻ろうとする体の働きのおかげです。
ところが、圧迫が強すぎたり長すぎたりすると、ボールは元に戻らなくなってしまいます。私たちの体も同じように、ストレスが強すぎたり、長くさらされていると、ホメオスタシスが働かなくなってしまうため、ストレスの影響が強くならないようにコントロールする必要があるのです。
ストレスにはどんな意味があるのか?
人生は料理と同じ。スパイシーな方がおいしい! 「ストレス」は、「なくすべき」「排除すべき」と思いがちですが、実は、私たちはストレスを感じるからこそ、生きることができるのです。
たとえば、「疲れ」というストレスを感じなければ、働きすぎて体を壊してしまいます。また、「不安」や「不満」がなければ、努力する気も起きません。「暑さ」「寒さ」を感じなければ、身を守ることも忘れてしまいます。
ストレス学説の祖であるハンス・セリエ博士は、「ストレスは人生のスパイス」と言いました。ストレスという適度なスパイスがあるからこそ、私たちは人生をよりよく料理でき、自分を向上させながら生きていけるのです。
生きている限り、ずっと付き合っていくのがストレス。だからこそ、ストレスを募らせてホメオスタシスを崩さないよう、考え方、行動の仕方、生活習慣を見直していくのが大事です。
たとえば、マイナス思考で考えたり、人に気を使いすぎたりしていると、ストレスはたまる一方です。また、頑張りすぎる生活、乱れた生活習慣、楽しみの欠けた生活などを続けていると、ストレスは解消されません。
このように、ストレスの影響を大きくさせないためには、日頃からストレス状況をよくチェックし、付き合い方を見直していくことが肝心になります。