火災保険「偶然」の事故で破損・汚損の補償とは?

火災保険には破損汚損という(不測かつ突発的な事故)の補償があります。他の補償の比べて発生頻度が高いのが特徴です。そんな破損汚損の補償についてご紹介します。

火災保険には破損汚損という補償がある

火災保険の補償の一つに偶然な事故よる破損・汚損(不足且つ突発的な事故などという損保もある)の補償があります。自然災害のように建物に住めなくなるような事故よりもちょっとした損害ながら、発生頻度が多いのが特徴です。火災保険の破損・汚損(不測かつ突発的な事故)の補償について解説します。

破損汚損(不測かつ突発的な事故)の補償とは?

破損汚損の補償とは、不測かつ突発的な事故で、保険の対象になっている建物や家財の損害をカバーする補償です。ここでいう不測かつ突発的な事故というのは、例えば火災や台風による風災、落雷など通常火災保険で補償されていることが原因のものは含みません。

台風による風による破損なら、「風災」という補償があるのでこちらで保険金が支払われます。それ以外の偶然の事故と考えてください。例えば次のような事故です。

・子供が家の中で走り回っていて、転んだ拍子にプラズマテレビにぶつかって壊れた(家財が対象の場合)。

・子供が室内で物を投げて窓ガラスが破損(建物が対象の場合)

勘違いする人がたまにいますが、故障は破損とは違いますので、家電製品の故障などは対象にはなりません。火災保険には、建物外部からの物体の飛来・衝突・落下などの補償が別にあるケースがあります。その場合は破損汚損とは別ですが、最近では破損汚損の補償だけで一つにしている損保もあります。

破損汚損の補償には免責金額が必ず付帯

最近の火災保険は免責金額(自己負担)をすべての補償に共通して設定できるものが増えています。損保によって違いがありますが、免責金額0、5千円、1万円、3万円、5万円、10万円などいくつかのパターンがあります。保険会社によって設定できる金額は統一されていません。

免責金額を高くするほど、自腹にする金額が多くなるので保険料は安くなります。例えば免責金額5万円をつけておくと、事故や災害で損害が30万円なら5万円を差し引いて(自己負担)、25万円を支払うということです。

共通免責なのですべての補償に共通しますが、今回のテーマの破損汚損についてはこの免責金額をゼロにすることができません。仮にこの共通の免責金額を0万円にしても破損汚損の補償には免責金額が設定されます(1万円くらい)。

なぜ破損汚損の補償に免責金額があるのか?

実はこの破損汚損の補償は契約のモラルが問われる補償です。自然災害のようにあったことが誰にでも分かるものではありません。火災や爆発、漏水などでもあった事実はわかります。

盗難であれば警察に被害届けをだして、状況の確認などをします。ところが破損などの損害はそのものが壊れた事実があるだけでどういう状況かはやった当人や周囲の人が見ていたことでしかわかりません。そのため一定額の免責金額が設定されているのです。

破損汚損の補償の対象外のものは?

上記のような理由などから特に破損汚損の補償は一部家財などを目的としている場合に対象から外されているものがあります。

例えばスマホや携帯電話、ノートパソコン、眼鏡、コンタクトレンズなどです。これらの落として破損しやすいものまで補償するとなかには不正請求する人もでるでしょうから、補償として維持することも難しいでしょう。

損保会社によって違いがあるので契約の際には注意してください。何でも対象になると考えていると失敗します。何に火災保険をつけていて(例えば建物や家財)どの範囲まで、何が補償されているのかという視点で破損汚損の補償について検討してみるといいでしょう。

破損汚損の補償は必要?不要?

破損汚損の補償については、そもそもそれを除外できる損保とそうでない損保があります。火災保険の補償を選んでつけるような損保なら不要とすることは可能ですが、補償の異なるプランを選ぶタイプだと外せるところは少ないです。

破損汚損の補償ですが、こまかい請求が多い補償です。自然災害のように住めなくなるような自体になるかというと微妙なところなのでここをどう考えるかです。冒頭のプラズマテレビ(倒して壊す危険性など)などのように高額な家電などはそれなりの金額です。

そこを考慮して保険料とのバランスをみていくといいでしょう。単純な破損が対象になるので思ったより保険金の請求をする頻度がある補償です。

(文:平野 敦之)

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