純伊勢原産のミルク誕生 新鮮な味わい、15日発売

 神奈川県内1位の産地・伊勢原市内産の牛乳のみを瓶詰めした「いせはら地(じ)ミルク」が15日、発売される。これまでは他の産地と混ぜて市販されており、農家3軒が「より新鮮な状態で消費者に届け、ブランド化を目指したい」と3年前から取り組みを開始。タカナシ乳業(横浜市旭区)とタッグを組み、「生産者の顔が見える牛乳」の商品化にこぎ着けた。

 市によると現在、市内の酪農家は33軒あり、約1400頭の乳牛が飼育され、県内では最大規模だ。一般的に、牛乳も野菜や魚介類と同じように、新鮮なものほどおいしい。ところが、大半は大手メーカーなどで1度、集められ、他市産と混ぜて販売されるため、どうしても新鮮さが落ちてしまうのが悩みだった。

 「伊勢原という消費地内に牧場があり、鮮度の高い状態で消費者に届けられる」のが地元の強み。2014年5月、酪農家で市畜産会会長の荒井新吾さん(56)が中心となり、市内産100%の牛乳を目指そうと、市や県と「伊勢原産牛乳プロジェクト」をスタートさせた。

 4軒の酪農家が毎月会合を開き、消費者へのインタビュー、市場調査、牛乳工場の視察などを行う一方、牛舎見学会や試飲会といった消費者へのPRイベントを重ね、メーカーに製品化を働き掛けてきた。

 念願の製品化となった「いせはら地ミルク」は4軒のうち3軒の酪農家が生乳を提供。通常の超高温瞬間殺菌(120〜150度で1〜3秒)ではなく、高温短時間殺菌(79度で15秒)を採用することで、熱によるタンパク質の性質の変化を抑え、「搾りたての味わい」を実現した。

 1本180ミリリットル入りで200円(税込み)。1日2千本を目標に出荷し、15日から市内を中心としたスーパー、コンビニで市販する。作り手の顔が見えるよう、瓶には各農家の顔写真やメッセージの入った小さなリーフレットも添えた。

 荒井さんは「甘くて濃厚で、上部にクリーム層が浮く。おいしい地ミルクを一人でも多くの人に届けたい」と意気込んでいる。

 問い合わせはタカナシ乳業お客様相談室電話0120(369)059。

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