放置は危険!「ひどい肩こり」は病気のサイン!?

肩こりは、姿勢による筋肉疲労や運動不足などを一般的にはイメージすると思いますが、中には病気が潜んでいるもの、また病気から肩こりが悪化するものなどがあります。

しつこい肩こり、悪化する肩こり

肩こりというと、筋肉をほぐして血行を改善させると、つらい症状が軽減されるイメージがあると思いますが、中には全く改善の兆しが見られない、悪化する、何をしていてもツライということを訴える人がいらっしゃいます。

その場合は、何か病気が潜んでいる可能性がありますので、放置せずに病院の受診が必要になります。手術の必要が無く保存的な治療が施されるケースでは、鍼灸やカイロプラクティックなどの代替医療が有効な場合もあります。

肩こりに潜む病気とは?

肩こりと関連する病気をいくつか挙げてみましょう。病気のシグナルとして肩こりが表れているのかもしれません。胸部や腹部の痛み、しびれやめまいを伴う場合は、早急に病院を受診して下さい。

変形性頚椎症(へんけいせいけいついしょう)

背骨は、椎骨という骨とクッション材である椎間板が、交互に積み重なってできています。加齢や激しいスポーツなどの影響で、椎骨が変性してしまい、骨にトゲのような突起(骨棘)が、レントゲンで確認できることがあります。

このように、変形すること自体が直接症状と関わるとはいえないのですが、進行すると、頚部、肩の痛みや腕のしびれなどの症状が表れることがあり、状態により別の診断名がつくことがあります。

頚部椎間板ヘルニア

頚椎は椎骨という骨が7個、積み木のように積み重なっており、その間には弾力性のある椎間板があり、背骨への衝撃を和らげています。

この椎間板は、髄核(ずいかく)というゼリー状の部分とそれを取り巻く線維輪から構成されています。加齢や頚椎への負荷により、椎間板が変性してしまいます。ヘルニアは、アンパンをつぶしてあんこが飛び出たような状態とイメージするとわかりやすいと思います。

線維輪に亀裂が入り、髄核が飛び出てしまう状態をヘルニアとよびます。頚椎椎間板ヘルニアでは、頚椎からの神経が刺激され、首や肩付近の痛み、腕、指へのしびれ、手が動かしにくい、力が入らないといった症状が表れます。

四十肩・五十肩

一般的には「四十肩・五十肩」の呼び名でお馴染みの、肩関節周囲炎は、肩関節の組織に炎症が起こり痛みが強く、腕を動かすことに支障が出てしまいます。肩関節は、腕を動かすために必要な複数の筋肉が協調してその動作を可能にしています。

肩こりの場合、これらの筋肉の機能を低下させることが考えられ、腕を動かすことのできる範囲が徐々に制限されていくと、血流も低下し肩こりも回復しにくくなるといった悪循環に陥ります。

胸郭出口症候群(きょうかくでぐちしょうこうぐん)

肩こりの他にも腕、手、指のしびれ、痛み、疲労感、冷えなどを訴えるものに「胸郭出口症候群」があります。首の付け根から腕にかけて、上肢へ通じる神経・血管の通る「胸郭出口」と呼ばれる部分があります。

胸郭出口部分は、肩こりや肩こりに伴う姿勢の変化などにより、肋骨や頚部の筋肉、胸部の筋肉などの機能異常が悪く影響しやすい所です。そこで神経・血管の圧迫、伸張などのストレスがかかると、上肢への症状が出てしまいます。

むち打ち症

自動車での追突事故やスポーツでの接触などにより、頚部の筋肉や靭帯、椎間板を痛めてしまうことがあります。むち打ち症は、頚椎捻挫とも呼ばれますが、中には脊髄に及ぶ重症例もあります。

首の痛みが引いてきた後に、吐き気やめまい、頭痛、視力障害が出ることもあり、全身症状に及ぶことも。損傷により痛みの物質が産生されると、筋肉の緊張がさらに強まり後頭部、頚部の張りや頭痛を招く恐れがあります。また、頚椎から出ている神経が障害されると、腕や手に感覚異常や脱力感が表れることがあります。

腫瘍

肩こりや首の痛みの中でも、「ただの肩こりでは無いかもしれない」と感じるものがあります。以前から慢性的に肩こりがあったとしても、筋肉疲労などによるものか、そうでは無いのか注意が必要です。

最近の肩こりが日々悪化していて、痛みとして感じるようになり何をしても、症状が強いままである、また、腕や手のしびれ、めまい、夜間にも痛むといったことがある場合は、脊髄の腫瘍や肺の上部にできた腫瘍なども考えられるため、早急に病院で検査を受けるようにしましょう。

(文:檜垣 暁子)

© 株式会社オールアバウト