【神戸製鋼のデータ改ざん問題】〈川崎社長などの一問一答〉「経営管理構造と職場風土の改革必須」

 神戸製鋼所の品質データ改ざん問題で10日の記者会見に出席した川崎博也会長兼社長、山本浩司常務執行役員、勝川四志彦常務執行役員との主なやり取りは次の通り。

――品質軽視の風土が生まれたのはいつからか。

川崎氏「当社は長らく各事業部門に収益責任を負わせる事業部門制を敷いてきた。品質も各事業部門に権限を委譲してきた。事業部門制の歴史を考えると、かなり前からだ」

――一番古い不正はいつからなのか。

会見する川﨑神戸製鋼所社長

山本氏「不正は短いもので1~3年前から、長いもので10年程度前から。物証の確認と聞き取りで事実を調査し、現物の生データが残っているのは長いもので10年だった。今はこの実証が精一杯で、引き続き外部調査委員会で調査する。当社の人事異動のローテンションは長くて5年ごと。報告書では、5年を超え担当者が交代しても続いていた事案を『長期間』とした」

――社長も本当に不正を知らなかったのか。

川崎氏「長く生産現場にいたが、専門は機械設備で設備建設や機械の保守・改善が主だった。品質に接することはなかった」

――経営理念の「KOBELCOの3つの約束」がホームページから削除されている。

勝川氏「今回の問題を踏まえ、もう一度仕切りなおすということだ。撤回ではない」

――複数の役員が不正を黙認していたという関係者の証言があるが。

川崎氏「報道があったことは認識している。私どもとしても、この報告書のベースとなった現役の役員、元役員にヒアリングしたが、外部調査委員会の報告を待ちたいと思う」

――不正の要因が多岐にわたっているが、最大の原因をどう考えるか。

川崎氏「どれが支配的か特定するのは非常に難しい。5つの要因が相互に関連している。あえて一言で言えば、品質のマネジメントシステムが十分に機能していなかった」

――不正を防ぐために経営陣は何をすべきだったのか。

川崎氏「当社の特徴である事業部門制が否定されるものではない。各事業部門が抱えた問題を本社で把握し解決する姿勢に抜けがあった。信頼回復には経営管理構造の改善・是正と困り事があれば素直に言える職場風土にする改革が必須だ。経営の最優先課題として不退転の覚悟で取り組む」

――社長の経営責任、関与者の処分についての考え方は。過去の経営陣にさかのぼって責任を問うのか。

川崎氏「外部調査委員会の調査を待って12月をめどに最終報告書をまとめあげ、しかるべき時期に判断したい」

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