日本新金属・秋田工場、タングステンのリサイクル処理設備増強

 三菱マテリアルは10日、連結子会社の日本新金属が秋田工場で進めていたタングステンのリサイクル処理設備の増強工事が完成し、9日に竣工式を開催したと発表した。総投資額約8億円をかけて高機能棟を新設し、大型超硬製品破砕設備や高温処理化設備、スラッジ前処理化設備などを導入。従来処理できなかった大型のスクラップ塊の処理や油分・水分を含むスラッジなどの酸化焙焼処理も可能となり、リサイクル処理能力は1・5倍に引き上げられた。

 同社加工事業カンパニーが取り扱う超硬製品の主原料であるタングステンは、埋蔵量の60%以上、供給の80%を中国が占め、資源偏在性が高い。同社グループは、中国をはじめとする海外からの輸入とリサイクルでタングステンを調達している。重要な調達ソースの一つであるリサイクルについては、これまでもユーザーからの使用済み超硬工具などのスクラップ回収にも取り組んでいる。

 日本新金属は国内唯一のタングステン製錬工程を有するタングステン粉・タングステンカーバイド粉のトップメーカー。今回の増強でリサイクル処理が可能なスクラップの幅が広がり、タングステン資源の安定確保の取り組みがさらに進展することになる。

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