インフルエンザの予防には、予防注射や、手洗い・うがい、マスクなどいろいろと対策はあると思いますが、食品に含まれる栄養成分にも、インフルエンザ予防に役立つと考えられ、研究されているものがあります。
昔から食用上では、粘りのあるネバネバ食品は滋養によいとされていましたが、現代でも注目されているネバネバ食品の栄養成分とその働きなどについてご紹介します。
ネバネバはどんな役割があるの?
ネバネバ成分によって、植物も、ヒトも体を守っています。 ネバネバ食品は、粘りや糸をひくような物質を含む食品。
粘りの正体は、大きく分けて、一つは多糖類を主体にした粘りのある食物繊維、もう一つタンパク質を主体にしたもの。さらにネバネバ・ヌルヌル食品は、多糖類とタンパク質がくっついたものなどもあり、様々な種類があります。
よく聞くムチンは、食物繊維(多糖類)のガラクタンやマンナンとタンパク質などが結合したネバネバ物質の総称です。身近なところでは、オクラや長いも、山芋などの植物に含まれています。
こうしたネバネバ成分は、植物が自分の身を守るために、種を守ったり、膜を作って水分をキープしたりしているのです。
「ムチン」は納豆や山芋などの粘りの成分です 植物だけでなく、人の体内の粘膜にも含まれていて、気管や消化管、目などの表面をカバーして守ってくれているのです。このおかげで、風邪やインフルエンザなどの感染症にかかりにくくする働きをしています。
多糖類は、水溶性食物繊維で、腸内環境を整えることにも役立ちます。免疫細胞が集まっていると腸内環境が整い免疫機能もきちんと働くことで、風邪やインフルエンザの予防の一助にはなるかしもれません。
キノコや海藻等に含まれる多糖類が、免疫機能を高めるといった研究報告はありますが、食べ物として食べる場合にどれだけ食べれば効果があるのかということはまだまだ明らかではありません。
また近年長芋については、長芋に含まれるディオリスコリンAというタンパク質には抗インフルエンザウイルス活性(型にもよる)があることがわかり、有効成分を抽出した食品の開発なども研究されています。
ワカメ、メカブに含まれるヌルヌル……フコイダン
フコイダンは海藻のネバネバ成分です。これまでにも、フコイダンは免疫力を高める働きや抗血圧作用の他に、ガン細胞が自滅するように誘導する働き「アポトーシス(自然死)」が確認され、ガン治療の分野などで注目されています。
インフルエンザウイルスの抑制に効果がある成分が含まれていると注目されているメカブ フコイダンは風邪ウイルスの感染を抑制することにもスポットライトが向けられました。
理研ビタミン株式会社によると、風邪ウイルスに対して、メカブに含まれるフコイダンが有効であるという報告を発表しています。
こうした研究報告は、特定の成分を抽出したものを使い、また動物実験レベルですので、食べ物としてどれだけ食べればよいのかなどは明らかでなく、今後の研究に期待が寄せられます。
生活全体を見直し、規則正しい生活を
インフルエンザや風邪をひかないためには、ウイルスに負けないように抵抗力を高めておくことがポイントです。
栄養成分は、お互いに助け合って働いています。ネバネバ食品に役立つ栄養成分が含まれているから、あるいは何か特定の食材や健康食品が体によいからといって、それだけをとるような偏った食べ方は禁物です。幅広い食品から、様々な栄養成分をバランスよく摂取できるように、心がけましょう。
食物繊維の他にも、ヨーグルトやキムチなどの乳酸菌を含む食品は、腸内環境を整えることに役立ちます。免疫機能を発揮できような食品も、バランスのよい食事の中にうまく取り入れていきましょう。
冷たいものばかり食べ過ると、体も冷えを感じたり、胃腸も冷えて働きが悪くなります。できるだけ温かいものを食べるようにしましょう。
食事だけでなく、十分な睡眠や休養も必要です。またストレスが免疫力を低下させるとも考えられていますので、ストレス発散のための運動やリラクゼーションなどを心がけ、心身を癒して、気力・体力を養うことも必要です。
みなさんも、元気にこの冬を乗り越えてください。
参考/
・地方独立行政法人 青森県産業技術センター
・理研ビタミン株式会社