中韓、脱北者の強制送還問題で異例の話し合い

11日の中韓首脳会談に先駆けて行われた両国の高官会談で、中国にいる脱北者の北朝鮮への強制送還の問題が取り上げられたと韓国の東亜日報が13日に報じた。

青瓦台(大統領府)の関係者によると、韓国の康京和(カン・ギョンファ)外相と、中国の王毅外相が参加したこの会談で、韓国側は中国・遼寧省で脱北者10人が公安当局に逮捕されたことを取り上げ、人道主義の原則にのっとり、当事者の意思の確認と人権の尊重を求めた上で、脱北者を受け入れる用意があることを伝えた。これに対し中国側は「確認する」と回答した。

迫害は明らか

外相会談で脱北者問題が話し合われたのは極めて異例のことだ。

中国では今月5日、最近脱北して韓国行きを目指していた脱北者10人が公安当局に逮捕された。10人はいずれも、北朝鮮に強制送還される危機に瀕している。

この件について、国際的な人権団体のヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)は、中国政府に対して10人を難民認定するよう求めている。

フィル・ロバートソンアジア局長代理は、米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)の取材に、中国は拷問、迫害などの危険に晒されることが明らかなのに、脱北者を北朝鮮に送り返し続けてきたと批判した上で、今からでも国連難民条約を守って、強制送還中断することを求めた。

HRWが把握したところによると、今年7月から9月までの間に公安当局に逮捕された脱北者の数は49人に達し、昨年7月から今年6月までの1年間の51人と比べ急増している。また、2ヶ月以上かかっていた強制送還の手続きが、最近に入って2週間に短縮されているという。

中国は今年に入り、脱北者の取り締まりを強化し、従来の中朝国境地帯から脱北ルートに当たる雲南省での取り締まりを行うようになった。さらに先月の中国共産党大会に前後して、公安当局が逮捕した脱北者は21人にのぼるとの情報がある。

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